おやじの腕まくり20年 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

10年ひと昔というが、20年はふた昔ということになるだろうか。

 いや、いまの「おやじたち」の輝きぶりを見ていると、

 昔ということばが当てはまらない。

 「ぬれ落ち葉 いまは乾いて 燃え上がり」なのである。

20年前、この指とーまれと差し出したボクの人差し指に、

60人近いおやじたちがとまってくれて、

『おやじの腕まくり』はスタートした。


ぬれ落ち葉や粗大ごみと化す前に地域デビューを図ろう、

おやじの沽券を取り戻そう、

名刺肩書き抜きの付き合いを増やそう・・・

そんな気負った思いで呼びかけはしたものの、

実際は、おそるおそる腕をまくっていけたらいいな・・・

そんな思いだった。

だが、集まってきたおやじたちは個性派揃いだった。

当初は、名刺交換をしないから、得体が知れない。

会社で窓際にいるのか、

バリバリ仕事をしているのかすらわからなかった。

だが、地域では、みんな特技や趣味を活かして、

どんどん積極的に腕をまくる人たちばかりだった。

定例会の日に必ず立ち寄った居酒屋で、

童心に返ったおやじたちは、生き生きしていた。

そこで湧いたアイデアは、すぐ地域イベントに活用された。



「お山の大将」は、その都度変わった。

子ども時代の遊び場と一緒だ。

代表や会長を決めずにいたのが、

20年長持ちの秘訣の一つかもしれない。

きょう、横浜市青葉区たまプラーザ駅前の「3丁目カフェ」で、

『おやじの腕まくり』結成20周年を祝う会が開かれた。

ここは、横浜市と東急電鉄が実施する「次世代郊外まちづくり」の

「住民創発プロジェクト」のひとつとして、去年年8月にオープンした。

 地域の人たちが気軽に集まって交流できる、コミュニティーカフェだ。
 カフェや食事の利用はもちろんのこと、

 サークル活動やコワーキングスペースとして利用できる場所だ。

 音響設備も整っているので、セミナーやワークショップ、

 ライブ活動などに利用する人もいる。


その場所に、40人ほどのおやじが集まった。

 「おやじの腕まくり」のメンバーとも、久しぶりに再会した。

 みんな変わらない。

 年相応になったというのか、あの頃が老けていたというのか・・・。 

 神奈川県内で社会活動に勤しむおやじのグループからも、

 お祝いに駆けつけてくれた。

 おしゃれなカフェに、おっさんばかりが集まった。

 呼びかけ人のムラカミも、冒頭「次世代に伝えることばの力」というテーマで

 ミニ講演をした。



(あのころ若かったボクたち)


(ムラカミもミニ講演)



(おやじの腕まくりメンバー  ちなみに全員ではない)






(左から、おやじの腕まくり創業メンバーの千葉さんとムラカミ、

 そして3丁目カフェの創業者 大野さんと)


『おやじの腕まくり』スタート直後に、
おやじの一人が言ったひとことが忘れられない。

「会社で一流の仕事が出来る人は、地域でも一流の活動が出来る」

そうなのだ。

窓際族やリタイア組の「しかたなく」参加の場所であっては

ならない。
 月金は会社人間、土日は社会人間であるというのが、

正しい腕のまくり方と考える。


「おやじ」という呼び方が好きだ。

雷おやじの威厳を保ちつつ、どこか愛嬌もある。

「いつまで遊んでいるんだー」と近所の子を叱る強面も持ちつつ、 

「いい子だなー」と頭を撫でるやさしさもある・・・

そんなお節介なおやじが地域には必要なのだ。

インターネット社会。

人との関わりが不得手な子どもが多くなってきた。

無縁社会にならないよう目を光らせ、人と人の縁をつなぐ、

 おやじに課せられた役割は、ますます大きい。

 腕は、まくり続けねばならない。