フセイン政権が倒れ、イラクが正常化に向かうと思いきや、
このところ、またきな臭い。
へたをすれば、イラクが三分割しかねない。
同じイスラム教の中でもシーア派とスンニ派の宗派間の対立が原因だ。
ほかにも、テロリストや油田を巡る利権がからみ複雑。
争いは収まる気配がない。
いつも犠牲を強いられるのは、女性や子ども、お年寄りだ。
住む場所が見つからない難民も続出している。
治療薬が手に入らない難病の子どもたちが助けを求めている。
シリアやイスラエルからも、戦禍の報告が絶えない。
イラクは、石油埋蔵量世界2位、産出量世界8位といわれている。
スンニ派の組織であるISISという過激派は、
油田を自分たちの資金源にし、勢力拡大しながら、国境を越えて、
イラク、イラン、シリアと勢力を拡大したいらしい。
現在のマリキ政権はシーア派が握っている。
シーア派が優遇され、蓄財していることに対して、
不満がどうにもおさまらなくなっている。
かつて、宗派を超えて結婚することも稀ではないくらい、
スンニ派とシーア派は共生できていたのに・・・。
北イラクでは、マリキ政権と対立してきたクルド人が強い。
スンニとシーア、クルドが北イラクにある油田の利権をめぐって、
三つ巴の血なまぐさい戦を繰り広げている。
シーア派とスンニ派、クルドの3つが、
バランスよく共生できるような政治をしないかぎり、
どうしてもフラストレーションがたまる。
イラクが一つの国に治まるかどうか、重要な土俵際に来ている。
何度も何度も同じ過ちを繰り返してきた
人類はそろそろ民族や宗教、宗派の違いを乗り越える力を
身につけなければいけない。
そうしない限り人類の未来はない。
明日20日の「日曜はがんばらない」では、
鎌田解説委員に、イラク情勢をひも解いてもらう。