瀬戸際のイラク | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

フセイン政権が倒れ、イラクが正常化に向かうと思いきや、

このところ、またきな臭い。

へたをすれば、イラクが三分割しかねない。

同じイスラム教の中でもシーア派とスンニ派の宗派間の対立が原因だ。

ほかにも、テロリストや油田を巡る利権がからみ複雑。

争いは収まる気配がない。

いつも犠牲を強いられるのは、女性や子ども、お年寄りだ。

住む場所が見つからない難民も続出している。

治療薬が手に入らない難病の子どもたちが助けを求めている。

シリアやイスラエルからも、戦禍の報告が絶えない。


イラクは、石油埋蔵量世界2位、産出量世界8位といわれている。

スンニ派の組織であるISISという過激派は、

油田を自分たちの資金源にし、勢力拡大しながら、国境を越えて、

イラク、イラン、シリアと勢力を拡大したいらしい。

現在のマリキ政権はシーア派が握っている。

シーア派が優遇され、蓄財していることに対して、

不満がどうにもおさまらなくなっている。

かつて、宗派を超えて結婚することも稀ではないくらい、

スンニ派とシーア派は共生できていたのに・・・。



北イラクでは、マリキ政権と対立してきたクルド人が強い。

スンニとシーア、クルドが北イラクにある油田の利権をめぐって、

三つ巴の血なまぐさい戦を繰り広げている。


シーア派とスンニ派、クルドの3つが、

バランスよく共生できるような政治をしないかぎり、

どうしてもフラストレーションがたまる。

イラクが一つの国に治まるかどうか、重要な土俵際に来ている。


何度も何度も同じ過ちを繰り返してきた

人類はそろそろ民族や宗教、宗派の違いを乗り越える力を

身につけなければいけない。

そうしない限り人類の未来はない。





(イラク のマリキ首相)



明日20日の「日曜はがんばらない」では、

鎌田解説委員に、イラク情勢をひも解いてもらう。