朗読は想像のツバサを広げて | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

兵庫県篠山市で「音訳ボランティア養成講座」の一日講師を務めてきた。

最近は、目の不自由な方々への朗読奉仕のことを「音訳」というそうだ。

「点訳」と対をなす言い方なのだろう。

熱心な受講者25人全員に、

長谷川義史さんの新作絵本『へいわって、すてきだね』を読んでもらった。


朗読の前に、いくつか講師の想いを伝えた。

朗読は想像力。読み手が想像のツバサを広げて、

聴き手にも想像を巡らせてもらうようにする。
映像が思い浮かぶように読む。

そのために必要なのは、黙読。声に出さず、目で文章を追いながら、

想像のツバサを広げていくのだ。

想像力を培うのは「間」。

あえて朗読のテクニックを一つあげるなら、「間」と答える。

必要以上に「間」を意識してほしい。間にいろんな感情が行き交う。

だが、感情の押し売りはよくない。

感情豊かに想像のツバサを広げた上で、読むときは、その感情を抑える。

自分の感情のさじかげんが大事だ。のめり込んだ上で忘れるのだ。

そんなことを伝えた。


25通りの『へいわって、すてきだね』。

6歳の少年の気持ちに近づいてみた人、

母親の想いで読んでみた人、

沖縄の海を思い浮かべてみた人、

一つ一つのことばを粒立たせた人、

大砲の音が近くに聞こえた人、遠くに聞こえた人、

幾通りもの「へいわ」を読み分けた人・・・

聴いていて楽しかった。