ユーモアあふれる童子をテーマに、
あらゆるものの背景にある「たましい」「気」「エネルギー」を表現する
彫刻家・籔内佐斗司さん。
独自の技法による木彫を中心に、
一瞬を切り取った彫刻に時間を取り込む動画風のシリーズを手がけるなど、
常に新たな試みに挑戦してきた。
公共空間に設置された作品は日本全国100カ所にものぼり、
多くの人々に親しまれている。
この人、ボクと同い年なのである。
ラジオビタミンのスタジオにもお呼びしたことがある。
以来、親しみを覚えている。
薮内さんといえば「せんとくん」
平城遷都1300年祭公式キャラクター「せんとくん」のデザインを担当し、
大きな話題を呼んだ。
また舞台芸術のプロデュースや、
「せんとくん」の応援団として仮面舞踏団「平成伎楽団」を結成し、
ますます活動の幅を広げている。
日本古来の生命観と仏教的世界観を創作の根幹に置く。
薮内さんは、子ども時代に、多くの動物を育て、その死を看取った経験から
「いのちの不思議」が創作のテーマになっている。
蛇や蝉の抜け殻を集めたり、動物の骨や化石への強い関心は、
彫刻表現の対象として、人体を選ぶことになる。それも童子がほとんど。
いま開催中の展覧会「やまとぢから」に行ってきた。
祖先が遺してくれた叡智と活力であり、次の時代を創り上げていくために
今こそ「やまとぢから」の本領を発揮すべきものであるという思いを込めた
展覧会である。
童子をはじめ、初期の彫刻から「平成伎楽団」にいたるまでの様々な作品、
仏像の保存修復による文化財保護への取り組みの様子、
30年以上におよぶ籔内さんの多彩な活動を一堂に見ることが出来る。
薮内佐斗司展『やまとぢから』は、
今月22日まで、そごう横浜店のそごう美術館で開催されている。