全国からPTAの関係者8000人が、三重県に集結した。
日本PTA全国研究大会は、全国を巡回しながら開催されてきた。
61回目の今年は、三重県が開催地。(8月23日・24日)
県内11の会場で、テーマを決めて討議する分科会の一つに参加してきた。
ムラカミが加わったのは、桑名市での第5分科会。テーマは「地域連携」。
地域連携は、かつては、ごくあたりまえの姿。
それを改めてテーマにせざるを得ないのは、
社会のグローバル化、核家族化、ネット社会化・・・
様々な要因によって、地域連携が希薄になったからだろう。
午前中は、基調講演。
ムラカミは、「おやじが変われば地域が変わる」と題し、
20年前、横浜で立ち上げた、おやじの腕まくりの経緯を話した。
メンバーが、入れ替わり立ち替わりお山の大将になり、
趣味特技を生かして、地域活動にいそしむ様子を紹介した。
いのちのつながりを伝えることも、先に生まれたものの務めだとも提言した。
日常のつながりが非日常にも生かされると提起した。
「おせっかい」なおやじを増殖させたら、地域は変わっていく。
ネット社会と子どもに詳しい作家の石川結貴(ゆうき)さんは、
「ネット時代の地域を問う」というテーマで、
地方自治が専門の四日市大学副学長の岩崎恭典(やすのり)さんは、
「地域で子どもを育む仕組みのために」というテーマで、
それぞれ基調講演をした。
午後からは、パネルディスカッション。
教壇経験の豊富な桑名市教育委員会の近藤信也さん、
自ら地域で子どもたちにサッカーを教える熱血漢でもある
文部科学省企画官の新木聡(しんきさとし)さんの2人が加わった。
ありがちなパネルディスカッションにしたくなかった。
檀上の発言を一方的に聞くだけでなく、会場参加型にしようと考えた。
A4用紙に、びっしり書き込まれた事前アンケートがたくさん集まった。
それをもとに会場に水を向けると、本音が返ってきた。
「地域でこどもに声をかけると不審者扱いされる」
「発達障害の子の親だが、声掛けされてもお節介に感じる」
「学校も地域もPTAも疑心暗鬼になって、意識が足りない」
日常のつながりが保ちにくいお寒い現状なのだ。
お節介も、身の程わきまえないと、不審人物にされかねない世の中なのだ。
でも、
「挨拶しない人のほうが変な人のはず」
「男気や善意を集める仕組みを作ればいい」
「声掛けすれば、顔が覚えられる。顔を覚えたら声が掛けやすい」
「しかり慣れ、しかられ慣れが地域の役割」
「善悪の基準が崩れないよう、ぶれずに頑張るべき」・・・と
積極的な意見も出た。
温度差がどんどん広がり、クレーマーが増え、
尺度が多様化し、一概に片づけられないことが増えてきた。
だが、学校のせい・・・地域のせい・・・PTAのせい・・・
互いに責任をなすりつけあっていてもしかたない。
地域連携のために、失ってはならない精神は「おたがいさま」。
かつての地域社会の常識だった。
「おたがいさま」の気持ちを忘れないようにと、ムラカミが締めくくった。
互いが、考えを述べ合い、考えを共有し、
互いを想い合う貴重な時間になったと思う。
第5分科会のメンバー
ムラカミの隣りから、岩崎さん、石川さん、近藤さん、新木さん