プロデューサー、英語教育家として活躍する奈良橋陽子さんは、
ゴダイゴ育ての親でもある。
祖父は、戦中の宮内庁で働いていた関屋貞三郎。
子どもの頃から戦中戦後の事を祖父から聞いていた。
その影響でさまざまな資料を調べる中で、ボナ・フェラーズに目を留め
この『終戦のエンペラー』の企画を立ち上げた。
1945年8月30日、GHQ最高司令官ダグラス・マッカーサーが日本に上陸。
アメリカによる本格的な日本統治が始まった。
マッカーサーは戦争犯罪人の一斉検挙とその戦争犯罪を裁く活動を開始するが、皇室、特に天皇に対する戦争犯罪の有無の立証と、
天皇が逮捕・処刑された際の、日本国民への影響を考慮していた。
マッカーサーの命を受け、知日家のフェラーズ准将は調査を開始する。
日本文化をよく知るフェラーズ以外の人物が調査にあたっていたら
日本の運命は変わっていたかもしれない。
フェラーズ自身も開戦前、
大学時代に知り合った日本人の恋人の安否を気に掛けていた。
10日間という短い制約時間の中でフェラーズは、
東条、近衛、木戸、関屋ら
容疑者、関係者から聴取を行い、
開戦に至る隠された真実と終戦における天皇の役割を暴いていくが、
天皇が戦争に関与していない証拠を得ることができない。
天皇への戦犯容疑を晴らしたいフェラーズだが、
具体的証拠の無いまま最終調査報告書をマッカーサーに提出する。
やがて、調査書を読んだマッカーサーは、
天皇の人物像を見定めようと、
フェラーズに天皇との面会を設定するよう命じる。
そして、マッカーサーに会った天皇の言葉・・・
それが、マッカーサーの決断につながる。
発案は、日本人だが、監督、脚本、美術、衣装などのスタッフは、
日本人以外で固めた。これが客観的な視線を醸し出した。
スクリーンを通して、
誇りを守ろうとした日本人、日本を理解しようとしたアメリカ人がいたことを
教えてくれる。
依って立つべき価値観をなくし、混乱の渦中にあっても、
心ある、志ある人はいたのだ。
小学生のころ、夏休みになると、
父と戦争をテーマにした映画を見に行ったものだ。
帰り道、戦争体験を教えてもらったものだ。
きょうは、8月15日。
我々がしてきたこと、してしまったことに想いを馳せ、
この先、何をなすべきで、何をしてはならないのか・・・
よくよく考える日にしたい。