熊本県天草にある天草学園は、居場所のない子どもたちの居場所だ。
家庭内暴力、虐待、育児放棄など、
様々な理由で親子の関係を結べない子どもたちが、過ごしている。
彼らの多くには、軽度の発達障害がある。
親子関係の余波が、こういう形で表れてしまう。
京都の建築家・松村正希さんは、
主に高齢者施設や児童養護施設などの設計を手掛けている。
自分の家にいるような感覚で暮らしてもらえる施設作りがモットーだ。
天草学園は、子どもたちにアイデアを出してもらい、
それを取り入れて設計した。
松村さんのすごいところは施設完成後も関わり続けるところだ。
今回は、松村さんに誘われて絵本読みのボランティアに行った。
白血病治療に役立つさい帯血バンク普及の活動を続けている
歌手の伊藤タカ子さんも、舞台衣装で持ち歌を披露してくれた。
京都の割烹・梅津のご主人は、
握り寿司、藁で燻した鰹のタタキ、焼き肉…すべてその場で調理してくれた。
「梅津」は松村さん行きつけの店で、ご主人が意気に感じて二年連続の参加。
(藁で鰹を燻す梅津のご主人)
(朦々と煙が舞う中、伊藤タカ子さんのリハーサル)
(手前の蓮の葉は、あとで寿司の皿に)
ボクは、紙芝居で『いのちをいただく』を朗読した。
牛を殺すことに戸惑う食肉加工業者の坂本さん、
最初は父の仕事が恥ずかしかったけど、
しだいに父を励ます息子のしのぶくん。
牛のみーちゃんを巡る心温まる物語。
このほか『いのちのまつり』『ぼくは小さくて白い』
いのちをテーマにした3冊を読む。
伴奏を熊本県玉名市の藤川潤司さんにお願いした。
板や箱の上に並んだ鉄や竹の棒を親指の爪ではじいて演奏するカリンバで、
まさに「効果音」を出してくれた。
アボリジニに伝わるディジュリドゥという楽器の演奏もしてくれた。
虫に食われて筒状になったユーカリの木から作られるらしい。
ボクの朗読も、藤川さんの演奏も、伊藤さんの歌も、
みんな真剣に聞いてくれた。
非日常体験をさせてやりたいという松村さんの思いが伝わったようだ。
ボクたちも、無垢な子どもたちの前で、無垢な気持ちにしてもらった。