きょうは、都立駒込病院で講演会。
坂巻壽(ひさし)院長は、東京医科歯科大学で鎌田實さんの同級生。
血液の病気を治療する名医である。
骨髄バンクの大谷貴子さんの紹介で知り合った。
とにかく患者さんに優しく丁寧に対応される。
どうしてそんなに優しいんですかと何気なく聞いたら、
大学生の時の想像を絶する体験を語られた。
(もちろん、このことはここで語るべきことではない)
自暴自棄にならず、そうなったことの意味合いを感じ取り、
自分の人生を定めてきた。
坂巻院長は、ほとんど誰にも語ったことのない体験を語らしめた
ムラカミのヒアリング術を高く評価してくださり、
医療現場に携わる人たちの「聴く力」を高めるため、
講演会を企画してくださったのだ。
講演会の参加者は医師や看護師がほとんど。
患者に向き合うとき、ことばの選び方や、ことばのトーンなどに
日々気を使っている人たちばかりだ。
だから、ボクの発することばの一言一句に真剣に耳を傾けてくれた。
イタリアンの店での2次会にも、50人くらいが参加した。
講演会でも2次会でも質問も相次いだ。
外科の先生は、「ボクは口下手で外科医なら患者と口を聞くこともないと思っていたのに、そうもいかない。患者にうまく説明出来ないので困っている」と。
うまく説明しようと思わなくていい。一生懸命の思いで伝えたら必ず伝わるはずだと答えた。
栄養士の女性からは「話の長い患者さんにどうしても割り込めない」と。
その日その日の栄養相談のテーマ を決めて、きょうはこういう話をしましょうと
自分が相談のペースをつかむようにしたらどうかと言ったものの、ケースバイケースだから難しい。話を切り替えるのは、相手が息を吸った瞬間を見計らってと言ったら、会場が沸いた。
放射線医から、アナウンサーは、素質何割?努力何割?という直射を浴びるような質問が出た。とっさに素質を感性と置き換えたら、感性100%と答えた。
ボクは、現にそう思う。
そうしたら別の女性から、感性を磨くにはどうしたらいいのかと即座に問われた。「感性を磨くには、自分の引き出しを増やすしかない。自分と違う存在を少しでも多く知ること」と答えたら、霧が晴れたと言われた。
講演会では、「有難う」が恥ずかしくて言えないと言っていた技師の方が、
2次会の席でわざわざ「有難う」と言いに来てくれたのは嬉しかった。