こんなこともあるんだ | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

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白金台は、かつて明治学院大学に通った懐かしい場所だ。
ここに古びた一軒家の蕎麦屋がある。一度訪ねたいと思っていた。お昼時をずいぶん過ぎていたが、店は混んでいた。
相席を言われた。目の前に若い女性が座っていたのは、何となく気づいていた。だし巻き卵を食べているのも何となくわかっていた。何となくというのは、じろじろ見るわけにいかないからだ。
品書きを見て、だし巻き卵を頼もうかと思った心を見透かしたかのように、目の前の女性が「私のだし巻き卵、よかったら半分食べてください」と声をかけてきた。
遠慮なくいただくことにして、得意のインタビューを開始した。
気軽に声をかけるはずだ。彼女は、日本人の両親のもとに生まれたが、ずっとロサンゼルスにいたから、姿形は日本人でも、中身はアメリカ人なのだ。
金沢にいる祖父母を訪ね一時帰国。アメリカに帰る前の数日を東京で過ごしていて、知り合いから教わった店を訪ねたところに、偶然出会ったというわけだ。
90を越えてかくしゃくとしてモダンな祖父の話、大好きなジャズを亡くなる直前まで歌っていた母の話、娘かわいさ余って自分の気持ちだけで行動する父の話…短い時間に実にいろんな話をしてくれた。
初対面の相手に、こんなフレンドリーに話す日本女性はいないだろう。それともボクが警戒心を抱かせない人畜無害になったということか…(笑)

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偶然の出会いは、もう一つあった。銀座のギャラリーで、きょうまで開かれていたグラフィックデザイナー松永真さんのポスター展に行ったら、ご本人がいたのだ。
15年ぶりの再会だった。
ボクの最初の本の装丁を恐れ多くも依頼し、快諾していただいた方でもある。
初対面でも、打ち解けるまでに全く時間のいらないフレンドリーな人だ。
久しぶりに会ったボクに「ストロングになったね」と松永さん。ストレスなくなったから図太くなったんでしょうと、心の中で呟いといた。
いやぁ~、それにしても偶然の出会いが2つも。
こんな日もあるんだなぁ~。