大人になれない人が増えている。いわゆる精神力、精神性が乏しい人が多くなっている。
明治大学の斎藤孝教授は、身体感覚を養うことは、心身のバランスをとる上で大切なことだと訴え続けている。斎藤さんの最新刊『大人の精神力』は、大人がいない現況に警鐘を鳴らし、納得することの多い佳き本であった。
本の中で、斎藤さんの考えに共感したことの一部を紹介する。
●精神的な拠り所がなくなって不安な今は、変化に対応出来る「しなやかな精神力」が重要と説く。
先人たちの精神力の築き方を学めば、ストレスは減っていくはずだ。
●あらゆることに極端と極端を設定し、中庸を見つける癖をつける。
●教養とは物事を知っているかどうか、精神とは身についているかどうか。自分の中に「かくあるべし」ということばを暗唱して身につけ『型』にしていく。身体に覚え込ませ意識化する。そうすれば心のブレがなくなる。
●アメリカの哲学者、ウィリアム・ジェームスの「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」ということばを引用し、日々の何気ない習慣を身につけることが人を強くしていく。
結局のところ、自分の精神性は、自分で築き上げるしかないのだと思う。
ただ、そのためには多くの書を読み、多くのことばに耳を傾ける必要がある。その積み重ねが精神を培っていく。