気温が上下を繰り返しながら冬に向かっているのが判る。昨日は日中からかなり肌寒かったが、今日はまた南大阪では穏やかな小春日和となった。今年は、「食欲の秋」をあまり実感せずに冬になってしまいそうだ。でも、冬は魚も美味く、温かい食べ物が豊富で、秋よりも食欲が高まる季節なのだ。ただ、今週は体調を崩し、きつい一週間だった。
先週末にカミさんが布団を冬用の羽毛へと交換してくれた。薄い夏用の掛け布団ではさすがに耐えられなかったが、それでも変化を嫌う保守的な私は横着にも身を震わせながら寝ていた。見るに見かねてカミさんが断行してくれたのだ。ところが、歳を取ったせいだと思うが、僅かのコンディション変化にも適応できなくなっているようで、月曜日の明け方に気がつくと布団を蹴飛ばし、寒さで震えていた。
あ、やってしまった。
しっかりと風邪を引いた。くしゃみが続き、鼻水が出て、頭痛がし、身体の節々がだるさを通り越して痛い。朝食後のいつもの服薬に感冒薬も加えた。仕事は休みたくない。このシーズンで初めてカシミヤの薄手のセーターを着た。
昼間は気が張っているから何とか勤めを果たし、いつもの時刻に帰宅したが、どうも身体が重い。なぜか胸がむかつき、食欲がない。風邪が消化器系に異常を来たしているようだ。夕食を用意してくれていたカミさんに詫びて、すぐに寝床を用意し、食事もせずに寝た。
翌朝、少し悪寒があるためにシャワーは諦めて、小寒い中をすべて着替えて出勤の用意をした。当然、カミさんからは休むように勧められたが、私としてはこの程度で休んで家にいるよりは仕事のほどよい緊張感が気分的に楽になるので、行くことにした。しかし、食事は喉を通らず、ヨーグルトだけ食べて服薬した。カミさんが早朝から作ってくれていた弁当を大事に持って、出勤した。
仕事は身体的に楽なので、難なくこなし、弁当も時間をかけたが完食した。帰宅したら、テーブルの上にゼリーが置いてあった。かつて、抗癌剤の副作用による酷い味覚障害で何も食べられずに苦しんだ時期があったが、その時に命をつないでくれたのが近所の病院の点滴と、このゼリーだった。大塚製薬の「カロリーメイト ゼリー」アップル味だ。いろいろと試したが、これは高カロリーで蛋白質も結構多く含んでいる栄養バランスのよいゼリーで、以後、何かある時には頼りにしている。それをカミさんが買っていてくれた。
ウエットな私と違ってドライなカミさんは、あまり感情を表に出さず、いつもそっけない態度でいるが、実は心根は温かで、控え目な性格が引っ込み思案然とさせているだけで、友達も多いし、子供や孫には明るく積極的に振舞っている。これまでいろいろと確執があった私には心を全開にしてくれはしないが、カミさんしか見ていない私の気持をいつか受け入れてくれる日もあるだろうと思っている。私にはこのゼリーがその兆しに思えた。
昼の弁当で食欲が快復してきたので、カミさんが用意してくれた夕食の野菜粥をしっかり食べた。カミさんが買ってくれたゼリーは必要なかったので、大切にとって置いた。実は、カミさんは何気ないように振舞いながら私のものをかなり買ってくれている。朝のコーヒーも、職場で飲む一杯ごとの抽出コーヒーも、弁当時のインスタント味噌汁も、おやつも、ストックがしっかりある。「安かったから・・・」と言いながらせっせと買って来てくれている。
そういえば、最近では衣類も時々買ってくるようになった。靴下やワイシャツ、ハンカチなど、私の好みを押さえたものをそっと買ってきてくれている。私は、随分長く、そういうものを自分で買って来た。好みもあるが、基本的にカミさんは私の「暮らし」に立ち入ってはくれなかった。同じ家に住んでいても、心に高い垣根があった。でも、少しずつだが、それが低くなって来ているような気がしている。
風邪は酷くならなかったが、全快まで時間がかかった。でも、もうすっかりよくなったと思う。カミさんに感謝している。カミサンハムニダ、かな。