まさか、まさか、である。平年より3週間以上も早く、今日(6月29日)、気象庁は、関東甲信地方が梅雨明けしたと思われると発表した。おいおい、いくらなんでも早過ぎないか。まだ、太平洋高気圧はそんなに強くないよ。ま、梅雨入りや梅雨明け宣言は、それで社会や経済を大きく変化させるものでもないし、各地の気象台のメンツだけのものだから、どうとでも言い訳できると思う。秋には最終発表があり、いくらでも修正できるし・・・。早々の梅雨明け宣言にメリットはあるのだろうか。やはり、私には気象台のメンツしか思い浮かばない。当たれば自慢、外れても蛙の面にションベンたる梅雨宣言だ。
梅雨は、暖気と寒気の境界に出来る前線が小笠原高気団という高気圧(太平洋高気圧)の勢力拡大に伴って北上し、日本列島の真上に停滞する「時期」を言う。だから、雨が降ろうと降るまいと梅雨は梅雨なのである。そこそこ雨は降る(はずである)。でも、当然ながら南海の水温で高気団の勢力が左右され、梅雨前線の日本停滞時期は変わる。「二十四節気」のように暦で決められるものではなく、該当する日付は流動的だ。
梅雨の有り様はどんどん変化して来ている。ダラダラ雨を表した言葉に「五月雨」があるが、今はそのダラダラ感がかなり薄れて、からっとした日が多い。でも、気象用語は便利で、そういう梅雨を男性的だといい、ジメジメと降り続くのを女性的な梅雨という。女性蔑視だといわれても仕方がないから、最近はあまり使われなくなっているが・・・。
旧暦の五月にあたる今の6月に入って3~4日間も雨模様が続くと梅雨入りだと騒ぎ、すぐに晴れが続くと梅雨の中休みと言う。でも、その中休みが何日も続いたり、何回もやってくることになっても、訳のわからないカッコ悪い言い訳が平気でされることになる。そして、7月に入って締めの「送り梅雨」で梅雨が暴れ、豪雨の洗礼を受けて梅雨明けとなる。今年は、少し前に新潟や秋田で、また先日は岐阜で、昨日は九州北部で。集中豪雨があったし、それをもって送り梅雨だと気象庁は判断したのだろう。
梅雨入り、梅雨明けの定義は一応あるようだが、玉虫色のファジーなものだと私は思う。「晴天が2日以上続いた後、梅雨前線の影響で、前日と本日が雨で、さらにその後1週間の天気予報が5日以上雨または曇り」である場合に梅雨入りしたとし、「雨が2日以上続いていた後、梅雨前線が北上して、前日と本日が晴れで、さらに週間天気予報で5日以上が晴れまたは一部曇り」の場合に梅雨が明けたとしている。だが、前述の通り、前線は北上南下を繰り返している。同じ定義の日々が幾度も現れる可能性は結構ある。大自然の現象を簡単な言葉で言い表せるはずがない。そんな大それたことを思わずに、文化として梅雨を受け止めればよいではないか。
くり返すことになるが、このところ高気圧の張り出し方がまださほど強くはなく、日本海上から朝鮮半島に北上した梅雨前線は再び戻ってくるかもしれない。特に、オホーツク海の寒気団が不安定で、勢力の増減を繰り返しているうちは梅雨明け宣言は難しいと思う。ま、どうとでも言い訳できるし、その結果で暮らしが大きく変わることもない。多分、今回の梅雨明け宣言は外れるだろう。ただ、真夏期の水源確保という観点からはこの宣言は外れたほうがいいのだから、言い訳材料の最右翼になるだろう。
実は、この時期のまとまった降水は日本の農林業にとってはまさに恵みの雨なのだが、降り続く雨を忌み嫌う人たちにも「梅雨」という言葉であきらめ、納得してもらってきた。じめついた心を少しでも晴らす方便として「梅雨」は存在してきたのではなかろうか。よく知られていることだが、一年を通して梅雨の時期の降雨量は最多ではない。秋雨の方がずっと多い。
かつては、梅雨の時期は高温多湿下でカビや雑菌が繁殖しやすく、疫病が流行する元となっていたため、体調を労わる時期であるという意味でも暮らしの中の戒めとして「梅雨」という言葉が用いられてきたと思う。それは今でもいえることだ。だが、こんなに早く梅雨明け宣言をして、人々の気持ちは緩まないだろうか。ただでさえ冷蔵庫を過信し、空調機に頼り、病気になっても医療機関に行けば治してくれると思っている人が実に多いのに・・・。
この時期の旬の食材といえば、野菜ではなんと言ってもトマトとニンニク、ラッキョウだろう。新生姜や紫蘇もいい。総じて、においの強い野菜がいい。食欲が落ち始める時期だけに、あっさりの素麺には薬味としてラッキョウや紫蘇のみじん切りがいいだろう。或いは、香辛料の効いたトマトカレーや、いっそ熱々のニンニクを利かせたトマトラーメンなどが好きだ。
魚は、夏の魚が出始める時期で、総じて6月は美味しくないと思う。7月まで待とう。一年中食べられる遠洋もののマグロ類で我慢することだ。でも、どうしても何か旬の魚を食べたいのであれば、イサキか鰆かな。当然ながら、生はやめたほうが良い。食欲の減退は体力の減退を意味する。体力の減退は怖い病魔が取り付く絶好の機会だ。夏痩せをダイエット効果と勘違いすることなく、栄養のバランスをとって、しっかりと食べることが大切である。
いずれにせよ、私が生息している大阪泉州はまだ雨が降り続いており、関東甲信地方のような「お手つき」はないだろう。東京追随などせず、手柄を焦らず、住民が心から納得できる宣言を願っている。