カインとアベルの物語。
人類史上初めての殺人。
以来、人間は人間同士で殺し合った。
個人的な恨みから
国家的な欲望から
何かしら理由をつけては争う。
智恵の実を食べた所以であろうか。
同種間での殺し合いは、他の動物では見られないそうだ。争いはする。しかし相手が降参の表示をすればそれ以上攻撃を加えることはない。ましてや殺してしまうことはない。
人間だけなのだ。万物の霊長という言葉に胡座をかいている人間だけが殺し合う。
正義の戦争というものは存在するのだろうか。
この世に絶対的価値観など存在するだろうか。
智恵の実をかじったのに。
肝心のところはわからない。
主ですら答えられないからだろうか。
戦争を起こさない技術や方法というものはきっとないのかもしれない。あるとすれば、平和を祈る心だけが戦争を食い止めるものなのかもしれない。目に見えないあやふやなものにすがるしかない。だから人間は恐れ慄き、凶暴となる。でも目に見えないあやふやなものであってもまだ一縷の望みを手にしているのは人間の拠り所、希望の光。
どうか人間がその光を絶やさず、掌に輝き続けるように。
たんぽぽに願いを託した若者のように、今日は僕らも願いを託そう。戦争のない平和な世界でありますように。