元旦千人献花 | アイビーの独り言

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加藤りつこのブログ


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原爆慰霊碑前に献花されたナンテンの実




2012年 明けましておめでとうございます。


このご挨拶が16年目の昨年やっと言え、年賀状も書けるようになりました。

今年は胸を張って 『明けましておめでとうございます』 と心からの想いを込めて言えました。

しかし、神社仏閣への 《初詣》 にはまだ違和感があって心が赴きません。


もう17年前になるというのに・・・・・

心の痛手は今もまだ消えません。

1995年あの年のお正月。

貴光との最後のお正月。

1月4日に下宿先の西宮へ帰る日、広島駅から新幹線に乗る前に広島市の中区にある護国神社へ初詣に行きました。



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祈ること・願うこと・今は想いを込め誓うこと




『この一年家族が健康に過ごせますように』

『貴光の願う平和な世界への道が拓かれますように』


私の願いはこの二つでした。


毎年破魔矢を買って一年の願いを託していました。

その年は、貴光が選びました。

『これがいいよ。』


そう言いながら指差したのは、紫色の小さな破魔矢でした。

短冊には 【夢叶う矢】 と書いてありました。

各種の破魔矢の中では小振りで、色が紫という斬新なものでしたが、彼がそれを選んだ気持ちがよく解り買ったのです。



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17年前の破魔矢。貴光の指紋と共に生き




【夢叶う矢】 

しかし、彼の 【夢】 の中には全くなかった道。

初詣から13日目に、神様は彼に 【死】の道を与えられたのですから・・・・・

それからの私には初詣は辛い行事となり未だに参拝する気持ちが戻りません。

長い歳月お正月はじっと家の中で息を潜めて時の過ぎるのを待っていました。

元旦に外出などとんでもないことでした。



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あなたの夢叶いますか?色褪せてもなお




そんな私が元旦に参拝する場所に出会いました

HPS国際ボランティア(代表・佐藤広枝さん)が2005年から始められた、原爆慰霊碑への千人献花と出会って私の中の参拝への拒絶感が薄れ、自分の我欲に囚われていた心の醜さに気づいたのです。



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原爆慰霊碑前にて元旦千人献花の様子




佐藤さんは2004年の元旦に原爆慰霊碑の前に立たれた時、国内外からの観光客の多さに驚かれたそうです。

しかし、そこには広島の行政機関の施設はすべて閉鎖され、資料館も見学していただくこともできず、ただ平和公園を歩いて記念写真を撮って帰られる方々の姿だけだったことに申し訳なさと、ヒロシマの心を世界へ発信したいと思うのであれば、元旦こそ大切にお迎えしなければならないと思われ、広島市へ陳情し市ができないのであればボランティアでできることを行ないたいと申請されたのだそうです。翌年の2005年(被爆60周年)の元旦から、佐藤さんのご実家の山から竹を切り出し、花器の代用品として筒に切り揃えて慰霊碑の前に組み立て、ご賛同くださった花店から1000本の菊の花を安く仕入れ、元旦に参拝される観光客の方々や市民の方々に、一人一輪、千人の方々に献花をしていただくというボランティアが始まったのです。

佐藤さんの情熱のこもった申請に、広島市からも許可が下りて今年で8回目の原爆慰霊碑・元旦千人献花を迎えられました。



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元旦の慰霊碑の前には人が絶えない




もちろん佐藤さん一人ではできません。賛同者や会員の皆さま方の援助があってのことです。普段はペンより重い物を持ったことのないたっちゃんもこの日のために、山へ入り切り出しの作業をされたそうです。心からお疲れさまでした。と申し上げたい気持ちです。



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マスコミの取材を受ける佐藤さん 元旦





今朝、私も参拝して参りました。すばらしい献花でした。献花台の傍には簡易コンロを用意し、佐藤さん手作りのゆず茶が大鍋いっぱい作られ、参拝者の皆さま方に振る舞われていました。心の行き届いた温かいおもてなしに参拝者の方々皆さまから、《寒い中でとても温かいお心をいただきました。》 《この献花を広島市のボランティアの方々がなさっているとは!!驚きです。》 というご感想をいただいておられました。 また、広島市の方で毎年元旦には参拝されているという男性の方が、近くにいた私に語ってくださいました。

《この慰霊碑の前に来られる方々が、ただ記念写真を撮って帰られるだけという姿をよく目にします。せめてここに来ていただいたら慰霊碑に手を併せていただきたいと思っていましたが、ボランティアで毎年献花をしてくださって本当に感謝しています。》 と。



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忘れることはありません。共に生きて・・




私が元旦に慰霊碑参拝を始めてまだ2年目ですが、自分の心を見つめ直す良い機会をいただいたと思います。

元旦に神社仏閣へ初詣をして祈願することも良かったかも知れません。でも、慰霊碑の前で手を併せてみると、祈願する前に死者を忘れないで尊ぶことの大切さに気づきました。《死者》 なくして 《命の大切さ》 は語れません。

私の初詣は慰霊碑となりましたが、祈ることはただひとつ 『忘れません。共に生きてください』。 


2012年1月1日こうして私の今年がスタートしました。

今年一番に電話くれたマサくん、受けた私は平和公園にいました。

ありがとう。