JITCO主催2011経営者安全衛生セミナー報告 Part2 | 外国人技能実習生実践活用術 協同組合エヌ・ケー・ユーのブログ

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第2回 最近における外国人技能実習生の労働条件確保のための送検の状況


平成18年以降において、労働基準監督機関が外国人技能実習生に係る労働基準関係法令違反により送検した件数は以下のとおり。


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平成22年の送検件数は18件。

うち、労働安全衛生法違反が2件、労働基準法・最低賃金法違反が16件であった。


平成22年における送検事例は次のとおり。


事例1:過労死案件に係る法定労働時間等違反について、強制捜査を実施し、送検したもの。

【金属部品メッキ処理業を営むA社及び同社代表取締役Bについて、外国人技能実習生に係る労働基準法違反の疑いで送検した事例】

 本件はA社で就労していた外国人技能実習生の遺族から、過労死に係る労災保険給付手続きが行われ、長時間労働が疑われたことから、A社に対し臨検監督を実施し、時間外労働に係る法違反が認められたため送検したもの。

 なお、被疑者Bに対して、同技能実習生の残業時間を記録した帳簿等の提出を求めたところ、虚偽の内容が記載された賃金台帳の提出が行われた為、A社の事務所等に対し強制捜査を実施した。

[違反事実]

 労働基準法第32条違反:3ヶ月の間、同技能実習生1名に、時間外労働に関する協定書の範囲を超えて時間外労働を行わせていたもの。

 労働基準法第37条違反:同期間中、外国人技能実習生3名に対し、時間外労働のうち1ヶ月につき20時間を越えるものについては時間額400円しか支払わず、法定の割増賃金を支払わなかったもの。

 労働基準法第109条違反実際の退勤時間を記録したタイムカードと賃金台帳を破棄し、虚偽の退勤時間を記録したタイムカードと虚偽の賃金台帳を作成したもの。


事例2:最低賃金法違反について、証拠物の提出に応じなかったため、強制捜査を実施し、送検したもの。

【縫製業を営むA社、B社及びA社、B社の代表取締役C等について、外国人技能実習生に係る最低賃金法違反及び労働基準法違反の疑いで送検した事例】

 本件は労働基準関係法令違反の存在をうかがわせる投書を契機として、A社に対し臨検監督を実施し、賃金に関する重大な法違反が疑われる状況の下で、出勤簿等の提示を求めたが応じなかったため、証拠の隠匿のおそれもあったことから、悪質と判断し、強制捜査を実施の上、労働基準関係法令違反を確認し送検したもの。

 なお、A社と代表者が同じB社においても同様の法違反が認められたため同様に送検した。

〔違反事実〕

最低賃金法第4条違反:外国人技能実習生6名に対し、1ヶ月の労働時間が月243時間までは60,000、243時間を越えた時間については時間額400円と時間額400円と最低賃金を下回る額で毎月の賃金が支払われていたもの。

 労働基準法第32条違反:約11ヶ月間の間、同技能実習生に対し、時間外労働に関する協定の範囲を超えて時間外労働を行わせたもの。

 労働基準法第35条違反:休日労働に関する協定の範囲を超えて休日労働を行わせていたもの。

 労働基準法第104条の2、同法第120条違反:労働基準監督官に対し、事実を隠蔽する為に虚偽の出勤簿及び賃金台帳を提出したもの。


事例3:賃金台帳について二重に管理して、割増賃金不払いをした事例について送検したもの。

本件は外国人技能実習生から申告に基づきA社に対し臨検監督を実施したところ、労働基準法違反が認められたが、被疑者Bは、行政からのほう違反の指摘を免れるべく同技能実習生に口止めをし、また、時間外労働と休日労働の時間数及び割増賃金金額を賃金台帳に記載せず別のノートで管理していたことが判明した為、悪質と判断し送検したもの。

〔違反事実〕

 労働基準法第37条違反:6ヶ月の間、技能実習生5名に対し、合計2,309時間の時間外労働及び合計360時間の休日労働をさせたにもかかわらず、時間額400円しか支払わず、法定の割増賃金を支払わなかったもの。


事例4:労働者が墜落するおそれがある場所に係る危険を防止する為に必要な措置を講じなかった事例について送検したもの。

【解体業を営むA社及び同社取締役Bについて、技能実習生に係る労働安全衛生法違反の疑いで送検した事例】

本件は工場建屋の解体工事現場において、工場の屋根にふかれたスレート板を撤去する作業を行わせるにあたり、踏み抜きによる危険を防止するための措置が講じられていなかったため、外国人技能実習生が上記屋根のスレート板を踏み抜いて墜落し、死亡するという重大な結果を招いたと判断し、送検したもの。
〔違反事実〕

 労働安全衛生法第21条違反:作業箇所は高さ7.1メートルのスレート葺き屋根上で、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれがあったにも係らず、歩み板を設け、防網を張る等の踏み抜きによる危険を防止するための措置を講じなかったもの。


事例5:作業内容変更時に必要な安全教育を行わなかった事例について送検したもの

【鋼材加工・販売業を営むA社及び同社課長Bについて、外国人技能実習生に係る労働安全衛生法違反の疑いで送検した事例】

 本件は技能実習生に対し、安全教育が行われていなかったことから、同技能実習生が作業中に、穴あけ機械のドリルを動かしたまま、当該機械の作業台から加工済みの鉄板を取り外すという危険な行為を行った結果、ドリル部に作業着が巻き込まれ、右腕を切断するという重大な結果を招いたと判断し、送検したもの。

〔違反事実〕

 労働安全衛生法第59条違反:被疑者Bは、A社の安全衛生責任者であるが、技能実習生の担当作業を変更したにもかかわらず、作業内容変更時に、労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について教育を実施しなかったもの。


以上、皆さんの職場におかれましては同様の違反・事故のなきよう十分ご注意ください。