JITCO主催2011年度経営者安全衛生セミナー報告 Part1 | 外国人技能実習生実践活用術 協同組合エヌ・ケー・ユーのブログ

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去る2011年10月13日 メルパルク東京にて、JITCO能力開発部主催の経営者安全衛生セミナーが開催されました。

その内容を何度かに分けてご報告して参ります。


第1回

労働基準監督署による監督指導および送検の状況


財団法人国際研修協力機構(JITCO)能力開発部長・大槻勝啓氏より、労働基準監督機関が実習実施機関(受入れ企業)に対して実施した監督指導の状況、および技能実習生が労働基準監督署に駆け込んだ「申告」の状況について説明がありました。

実習実施機関(受入れ企業様)におかれましては、同様の違反行為が無きよう日頃から法令順守を徹底下さいますよう、お願いします。


(1)監督指導

平成23年には3,145件の監督指導に対し、実に74%にあたる2,328件に違反が認められました。


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違反の内訳は

 労働時間      929件(29.5%)

 割増賃金不払い  690件(21.9%)

 賃金不払い     406件(12.9%)

 労働条件の明示 405件(12.9%)

 寄宿舎関係    309件( 9.8%)

 安全衛生関係   1337件(42.5%)

 最低賃金     174件(5.5%)

となっています。

 

平成22年における監督指導事例として次の例が挙げられています。


事例:効果的な臨検監督により割増賃金の不足額が支払われたもの。

【繊維製品製造業務に従事している外国人技能実習生から、割増賃金に係わる情報提供が匿名で成された事例】

 前日に、夜間の労働実態確認のため工場を内偵し、夜間も操業していることを確認の上、臨検監督を実施した。

 使用者は時間外労働を行わせていないと否定したが、外国人技能実習生に直接確認し、時間外労働を行っているととの証言をとったほか、前夜に就業実態を現認した上で再度使用者に尋問したところ、外国人技能実習生3名に対し、時間外労働を行わせていること、時間額500円しか支払っていないことを認め、法定の割増賃金を支払わなかった(労働基準法第37条違反)事実が確認されたため、使用者に対し是正勧告を行い、不足額約100万円が支払われたもの。


(2)申告

「申告」とは、労働基準法第104条にある『事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。』のことで、いわゆる従業員が労基署に「駆け込む」事です。


ここでは、外国人技能実習生の場合を取り上げています。平成22年度に外国人技能実習生が「申告」した例は182件で、その内訳は

 賃金不払い(労働基準法第24条、第37条)   175件

 最低賃金(最低賃金法第4条)           21件

 解雇の予告等(労働基準法第20条等)      8件    (複数回答)


平成22年における申告処理事例


事例1:申告監督により割増賃金及び最低賃金の不足額が支払われたもの

【繊維製品製造業務に従事している外国人技能実習生3名から、賃金不払い及び割増賃金に係る申告が成された事例】

申告を受け、臨検監督を行ったところ、使用者は、基本給12万円、時間外労働については法定の割増賃金870円を支払っていると主張した。

 しかし、虚偽の陳述は労働基準法第101条および120条により処罰の対象になる旨教示した上で、再度、割増賃金の実態について尋問したところ、使用者から、過去2年の間、基本給については5万円から6万円、割増賃金については時間額300円から450円しか支払っていないことを記録した書類が提出され、最低賃金額及び法定の割増賃金が支払われていないことが確認されたため、使用者に対して是正勧告を行い、不足額約300万円が支払われたもの。


事例2:労災補償や健康管理に係る法違反について是正されたもの

【金属製品製造業務に従事している外国人技能実習生3名から労働基準法、労働安全衛生法違反に係る申告がなされた事例】


申告を受け、臨検監督を行ったところ、法定の割増賃金を支払っていないこと、業務上のけがについて療養補償が行われていないこと、定期健康診断が実施されていないこと、溶接作業時に呼吸用保護具を使用させていないこと等が確認されたため、使用者に対し是正勧告を行うとともに、是正について繰り返し指導を行い、法違反が是正されたもの。


昨年、入管法改正に伴い、入国1年目から労働関連法令が適用されることになった為、労働基準監督機関の監督指導も厳しくなったようですが、受入れ企業側は旧制度の認識のまま、受入れを続けているような事例も見受けられ、我々監理団体の指導が問われるところです。


次回は更に悪質な送検の事例についてご報告します。


以上