当時の大阪帝拳ジムには、西原先生という、めちゃめちゃ怖い先生がいました。
怖い。とにかく怖い。
近づいたら空気がピリつくタイプです(笑)
でも、その反面――人情味が厚くて、実はめちゃめちゃ優しいところもある。
この“ギャップ”が、また厄介で(褒めてます)笑
西原先生は元プロボクサー。
大阪帝拳ジムのOBかどうかは分からないけど、戦績は「勝ったり負けたり」だったらしいです。
それでも先生は、口癖のようにこう言っていました。
「俺は殴られても殴られても前に出た、ブルーファイターや。」
……出た、ブルーファイター(笑)
先生、いつもそれ言う。ほんまにいつも言う。
あまりに“ブルーファイター、ブルーファイター”と言うもんだから、
いつの間にか僕たちの中では先生のニックネームが「ブル」になって、陰で「ブル、ブル」と呼ぶようになっていました。
(もちろん先生の前では言いません。命が惜しいので。笑)
ブルはいつも自転車でジムに来ていて、近づくとすぐ分かるんです。
「キキーッ!」という、あのブレーキ音。
あれが聞こえた瞬間、背筋が勝手に伸びる。
ある日、僕はコーラを飲みながら帰っていました。
先生には「炭酸ジュースはやめろ」と言われていたので、ブルを見た瞬間、心臓がリングアウトしかけました。笑
「ヤバい……見つかった……」
ところが先生、まさかの笑顔。
そして僕のコーラを取り上げて――
半分以上、飲みました。笑
そのまま、ひと言。
「……炭酸はやめとけよ。」
いや、説得力どこ置いてきたんですか(笑)。
僕の健康を守る前に、先生が先に炭酸浴びてるやん。笑
また別の日。
僕がアイスクリームを食べながら帰っていたら、前から先生が現れて、
「絶対怒られる!?」と焦った僕は、とっさにカバンにアイスを突っ込みました。
……はい、バレずに済みました。
怖いのに、優しい。
優しいのに、やり方が豪快。
そんなブルが、僕らの記憶には強烈に残っています。
そして今になって思うのは、あの厳しさの奥には「人間として成長してほしい」という想いが、確かにあったということです。
当時は分からなかったけど、逃げずに向き合った時間が、僕の土台になっている。
今、僕が指導する立場になって大事にしているのは、強さ以前に、最低限の礼儀や挨拶、姿勢みたいな“人としての土台”を徹底すること。
……とはいえ、僕自身もまだまだできていないことばかりで、今も学び中です。
それでも、ブルの背中から教わったものを、少しずつでも繋いでいきたいと思っています。
ブレーキ音ひとつで背筋が伸びるくらい怖かったのに、
なぜか最後に残ってるのは、感謝の方です
