小学6年生までは、週1回くらいのペースで大阪帝拳ジムに通っていました。
この頃の僕は、父親との関係があまり良くなかった。
ボクシングのトレーニングも、もともとは家で父親とやってたんですけど、大阪帝拳ジムに通い出したのをきっかけに、家でのトレーニングはいつの間にか終わっていました。
…今思うと、たぶん僕は「練習を辞めた」んじゃなくて、
“家で父と向き合う時間”を減らしたかったんやと思う。
で、中学1年生になるタイミングで、ボクシングを一度辞めることになります。
理由は、塾。
僕はボクシングより賢くなりたかった。笑
ここだけ切り取ると、めちゃくちゃ優等生の人生です。
「将来を考えて、スポーツより勉強を優先しました」みたいな。
でも実際、塾は、ボクシングより現実的で、もっとしんどかったんです。笑
通い出したのが第一ゼミナール。
ここがまた本格的で、入塾試験があって、クラス分けがありました。
ホップ、ステップ、ジャンプ、特進。
名前だけ聞いたら、塾じゃなくてトランポリン競技。
勉強で跳ぶ塾です。笑
僕は「ステップ」に入りました。
下から2番目のクラスです。
でも、響きがいい。前進してる感じがする。
この時点で、僕の心はもう「ジャンプぐらい行けるやろ」って勝手に跳んでました。
ところが現実。
授業についていけない。
分からない。
分からないのに、分かったフリをする。
分かったフリをしたせいで、さらに分からなくなる。
そしてついに、僕はステップからホップに落とされます。
ステップ → ホップ。
階段を上ると思ったら、まさかの下降。
しかもホップの授業も、だんだんついていけなくなってきた。
提出物も出さなくなって、先生に叱られたことがあった。
その瞬間、塾に行く気はほぼ消えました。
でも問題がある。
塾を辞めるには、理由が要る。
親に「先生に叱られたから辞める」なんて言ったら、絶対怒られる。笑
どうしようか……と考えて、そこで思い出したのが――ボクシング。
「あ、そうや。ボクシングや」
ここで僕の頭は、ものすごいスピードで“正当化のストーリー”を作り始める。
「塾より、ボクシングをやりたい」
「中途半端は良くない」
…みたいな、カッコいい言葉が脳内で次々と生まれてくるんですけど、
実態はシンプル。
塾がしんどい。
ホップがイヤ。
先生に叱られる。
でも辞める理由は欲しい。
つまり、ボクシングは――
僕の“撤退戦”を美しく見せる旗印になった。笑
「よし、塾やめて、もう一度ボクシングジムへ行こう」
こうして僕は、塾から逃げ……じゃなくて、
ボクシングへ“帰還”することになったわけです。
逃げたんじゃない。帰ってきただけ。
人生って、言い方ひとつでだいぶカッコよくなる。笑
