名取寛人さん。くるみ割り人形のパンフレットより。
この舞台はそれはそれは素晴らしいもので、幕があいた瞬間に飛び込んできた景色だけで涙がこぼれそうになりました。
途中、あらこの方は…というかたがご出演されていて、パンフレットで確認すると酒井はなさんでした。酒井はなさん…とある時期のオリーブ少女には懐かしいお名前ですよね。
バレエダンサーとしてご活躍され、紫綬褒章まで受章されています。
まさかの感動の再会に(一方的ではありますが)喜びもひとしお。
このくるみ割り人形は恐らく再演されるだろうと見越して、あまり語らないでおきますね。読者の皆さまにもご覧いただきたいので然るべき時が来たらギャーギャー騒ぐことにします。
さて、名取寛人さんについてなのですが。
活動再開の哺乳類復活祭(またの名を哺乳類復活祭)にもお越しくださいました。
寛人さんね、アメリカの男性だけのバレエ団トロカデロ・デ・モンテカルロに唯一の日本人ダンサーとして在籍されていたかたです。
胸毛モジャモジャの男性たちがバレリーナのコスチュームとメイクで踊るコメディバレエ。
YouTubeにも動画がありますし、公式サイトもどうぞ。
このバレエ団は男性だけなのですが、寛人さんはなんと、元女性なのです。
女性として生まれて途中で男性になって女性の格好で踊る!パラドックス!
そんな徹子の部屋にもご出演された寛人さん。
(あっさり言ってみました)
今週末に講演会をなさるのです。
海外で活躍されるだけでもすごいことなのにネタが多すぎるでしょ(笑)
先日はLGBTのイベントにも参加されていました。
つくづく思いますが、少数派の人たちが感じていることって伝わらないんですよ。
例えばわたし、たいしたマイノリティでもないですが、左利きなんです。
左利きの人たちからみたこの世界は、右利きの人たちに便利な仕様になっています。
定食の器の配置とお箸の向き、自動改札の設置のしかた、ドアノブの位置、電卓の文字列の並びなど、恐らく右利きのかたにしてみたら気がつくはずもないところで無意識に小さなストレスを感じています。
数人で食事する時に左端の席を陣取ろうとする人は左利きの可能性が高いと思います。右利きの人が左にくると食事中に肘がぶつかりやすいためなのです。
自分たちのほうが少数であることも自覚してますし、左利きのために特別な自動改札を作ってくれなんて思いません。理解してほしいとも思いません。ただ、使いにくいだけなんです。
寛人さんは恐らくもっともっともっとたくさんの不便をご経験されてきたのでしょう。
まだ法律があからさまに男性と白人優位だった時代のNASAを描いた映画ドリーム。
白人のキルスティン・ダンストが黒人の主人公に言いました。
「わたしは差別はしないわ」
黒人女性が言いました。
「わかってるわ。そう思い込んでることをね」
少数派の当事者が感じていることと、世間の反応は乖離があるものです。
まずは知ることで、どちらの世界も広がるような気もします。
そして寛人さんのお話しは重くも説教くさくもなく、笑いながら新しい世界または新しすぎる世界をのぞかせてくれるものですよ。
名取寛人の踊る講演会
2018年5月25日(金
19:00 ~ 20:30 (18:30 開場)
新宿文化センター・小ホール
入場料 :¥3500
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