東京芸術劇場シアターイーストでタイトルに入っているクニコ=向田邦子の小説をモチーフとしたダンスダブルビル(2作品同時上演)「邦子狂詩曲(クニコラプソディー)」を観た。

 

振付・構成・演出は中村蓉。

彼女が昨年末にワークショップの発表舞台として上演した、やはり小説(ヴァージニア・ウルフ)を題材にした作品がとても良かった↓ので、期待して劇場に足を運んだ。ダブルビルでという構成意図をうまく使い、演劇的ダンスの前半と身体的ダンスの後半でそれぞれに楽しめて満足度が倍増するような舞台となっていた。

 

 

 

***** 演劇サイト より *********

 

2つのアプローチで向田邦子の世界を奏でるダブルビル

ダンス・音楽・演劇の要素を取り入れて描く『花の名前』×コンテンポラリーダンサーの鍛えられた身体で描く『禍福はあざなえる縄のごとし』

中村蓉(ダンサー)による身体表現に、福原冠(俳優)・和田美樹子(メゾソプラノ歌手)・長谷川ミキ(ピアノ)による朗読や音楽を交え、中村が得意とする舞台芸術の多要素を横断的に用いながら描く『花の名前』。2022年初演、2023年に再演した『花の名前』を、東京芸術劇場と協同しスケールアップし、シアターウエストにて待望の再再演。
そして向田邦子のいくつかのエッセイ題材に、個性的なコンテンポラリーダンサー島地保武・西山友貴が、中村とともに、鍛えられた身体で向田邦子の言葉の美学と対峙し立ち上げる新作『禍福はあざなえる縄のごとし』。

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昭和レトロな雰囲気の衣装、そして携帯電話ではなく黒固定電話がある居間で展開する「花の名前」には主人公の主婦役に中村蓉、如才ない一見優しげな旦那に「範宙遊泳」の看板俳優福原冠、彼の謎の浮気相手にオペラ歌手の和田美樹子、そして舞台脇では長谷川ミキがライブでピアノ演奏をつけている。

バックグラウンドが違う三人のパフォーマーがそれぞれが得意とする表現方法を活かしながら、それらが自然に重なりあい、向田邦子の男女の機微を描いた世界を形成している。

福原の佇まいがこのどんどんスマートになっていき、自分を疑わない亭主の役にピッタリ。

もちろん振付されたダンスの要素もあるのだが、きちんと計算・構成された演劇という趣が強い。

 

それに対し、後半戦の島地保武・西山友貴の男女のやりとり、ぶつかり合い、不満や言い合いをダンスで表現した「禍福はあざなえる縄のごとし」は言葉なしの身体での表現。小さな西山を手(背中)の上で受け止め、愛でる島地の包容力が魅力的だった。

 

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