東京芸術劇場シアターイーストで芸劇が主催するダンスワークショップの発表舞台ヴァージニア・ウルフの「オーランドー」を中村蓉を中心に練り上げ、ダンスステージにした「√オーランドー」を観た。

パフォーマーは一般公募の男女十五人 — ジェンダーの割合としては女性の方が多い。年齢はマチマチのようだった。

 

****** 演劇サイト より *********

2023年芸劇danceワークショップは、創作時のプロセスにおいて、古典や近代文学のテキストのダンス化に取り組む中村蓉を講師に迎え、新たなダンスクリエーションを模索します。題材はヴァージニア・ウルフ『オーランドー』(1928年出版)。20世紀を代表するイギリスの作家ヴァージニア・ウルフの代表作です。
ダンサー、俳優、劇作家、勤め人、看護師、研究者、学生…多彩な参加者と中村蓉がひとつのテキストから発生する多様な思考を収集し、身体性に昇華していく作品創造にチャレンジします。『オーランドー』から生まれる新たなダンス表現にご期待ください。

 

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ある女性(初めは青年貴族、男性として登場)の360年以上にわたる人生、恋愛遍歴を追った「オーランドー」をダンスという身体表現を主に(時にセリフを語りながらのシーンもあり)紡いでいく70分間の舞台。

 

ダンスワークショップでありながら、ダンステクニック(ジャンプやターンやステップ)に注視するのではなく、なぜ踊るのか、何を表現するのか、、ダンスの根源をワークショップでみんなで問い詰めたというのがわかるステージは、パフォーマーたちの伝えたい!!がしっかりと客席まで届いていて、しっかりとその世界観を受け止めることができた。

 

終盤に小津安二郎の「晩春」での父(笠智衆)と娘(原節子)の会話が流れ、そこで父は娘に —時代は移り変わっていくものでいつまでも同じではいられない、後進に道を譲り、示すのが年嵩の者の役目でそれを受けた若い人たちは恐れず自らで道を切り開いていかなくてはならない— と諭すのだが、まさにこの会話がオーランドーの示したところを的確に表していて、オーランドーと晩春、、この二つの名作のスゴさをあらためて実感した。

 

一人一人のパフォーマーが自らをダンスで表現している、その姿勢と舞台での成果も大いに楽しめた。