駒場アゴラ劇場で関西をベースに活動している劇作家、演出家、俳優の竹田モモコさんが主宰している劇団ばぶれるりぐる*の新作「川にはとうぜんはしがある」を観た。

今回、竹田さんは脚本、そして妹・早希役で出演もしている。演出は竹田さんと同郷(高知県)のチャーハン・ラモーンさん。

 

*劇団HPより 劇団名の由来など

竹田の出身地、高知県土佐清水市の方言『幡多弁』によるコントや会話劇を発表しています。

『ばぶれる』とはだだをこねてあばれる。『りぐる』とはこだわる。という意味。

​普遍的な悩みや葛藤を扱いつつも印象はライト。おもわず笑ってしまう劇作を得意とする。日々がんばる大人のための演劇を目指す。

 

↓最近観た竹田さんの別作品のレビュー

 

 
****** 演劇サイト より あらすじ********
舞台は古川家の「通り土間」。
母屋には古川家の次女【陽子(大江雅子)】の家族が暮らしている。
そこへ20年ぶりに長女の【早希(竹田モモコ)】が帰って来た。
早希は通り土間を挟んだ離れに暮らすことになった。
すっかり母親業がしみついた陽子と、自由に暮らして来た早希の感覚のズレのようなものにお互いが戸惑う日々。
そこへ陽子の一人娘「みま(鄭梨花)」の独り立ちや、都会からの移住者「生田目(窪田道聡)」がやってきて、さらに古川家をかき乱す。
家族が、生活が、かたちをかえる時、必ず痛みをともなう。
それでも繋がりたい、その先を見てみたい。 そう、いつの時代も川にはとうぜんはしがあるように。

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まず、上記にあるような通り土間 —母家と離れが舞台両脇にあり、その間に土間がある。なので両家を行き来する場合はその土間をまずは歩いて渡って反対側へ、ということになる —の舞台美術(柴田隆弘)がタイトル「川にはとうぜんはしがある」を彷彿とさせて興味深い。

 

しばらく会っていなかった姉妹、そしてそれぞれに違った人生設計を選んだ姉妹の間の心の溝をその土間=家の中にある川が象徴しているようだ。

 

そこに、新しい価値観を持ってこの田舎に移住してきた生田目がささっとスノコを置いて2点の行き来の空間を埋めてしまう、というのも、なるほどな展開。

 

主に姉と妹の間に流れている川を扱っているのだが、そのほかにも同じ家族の中での価値観の違い、たとえば陽子とその夫博樹(上杉逸平)の間の娘の将来に関する思いの違い、とかジェネレーションギャップ(若いみまや生田目と上の世代の陽子、早希との違い)による大きな川の流れの違い、などが実にうまく組み込まれている。

 

いっときはその川の流れに分裂しそうになる家族だが、みまの幸せを願う思いは一緒、、ということでお互いに”はし”をかけて最後は歩み寄り、白黒どちらか(キャリアか平穏か)、良い悪いの解決方法でないところで落ち着くのがとても良い。

 

最後にみまが自身で自分の生きる道の答えを出す(たとえそれが大人からしたらとんでもない危なっかしい決断であったとしても)ところなどに竹田モモコらしさが出ていて、、やっぱりこの人の戯曲は(セリフも含め)面白い!と思った。