北千住BUoYで捩子ぴじんのカンパニーneji&Co.のコロナリポート三部作「Cue」「Out」「Sign」を2日かけて鑑賞。

 

これが目から鱗が剥がれ落ちるほど斬新、ダンスでありながら「今」にヴィヴィッドに反応したポリティカルな作品で圧倒された。

 

16日ソワレに男性二人のダンス作品(捩子ぴじん自身がその一人でもう一人が畑中良太)「Cue」を、翌日のマチネで「Sign」が中に組み込まれた構成の俳優たちによる台詞がついた身体表現作品「Out」を観劇。

 

こちらは去年年末に横浜で観た「Stream」という作品のレビュー

 

****** 演劇サイトより 作品内容 ******

『Sign』
出演:石原菜々子(kondaba)、今村逹紀、菊池 航、増田知就(ブルーエゴナク)
カンパニーneji&co.の第一作。振付を覚え練習することで、コロナ禍の滞留した時間を前に進めることを目的に制作された、10分間のパフォーマンス。忙しなく動き続ける体と、短時間に凝縮された数多くの身振りによって構成される。
初演:2020年 上演時間:10分

『Cue』
出演:捩子ぴじん、mizutama、畑中良太
パフォーマーの入退場、音響や照明の変化などの舞台作品における様々な行為のきっかけ・手掛かり・合図を「キュー」と言う。Go To/Stay Home、緊急事態宣言発令/解除等、反復し持続する現在の「外」に出ることを体で試みる。
初演:2021年 上演時間:60分

『Out』
出演:石原菜々子(kondaba)、田辺泰信、増田知就(ブルーエゴナク)、増田美佳
neji&co.のプロジェクト最終作。俳優によって上演されるテキストを用いた作品。2020〜2023年を振り返りながら、過去から現在を通過した未来まで、私たちの生の「外」にある時間を想像する。
初演:2023年 上演時間:80分

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こちらのリンクでは作品をチラ見できます。

 

「Cueで」はマイクを口に含んで声をハウリングさせている捩子、また音響・音楽のmizutamaが操作するその声、音をデザインした空間で二人のダンサーが緊張し、硬直した身体でコロナの状況を表していく。一つ一つの動きの力強さがハンパない。

「Sign」は10分間の短い作品だが、最初から最後まで途切れることなく四人のダンサーが動きを連動させ、波及させてていく。

80分の長編で、最新作である「Out」においてはコロナというウィルス蔓延による人類の危機を含め、これまでわれわれが辿ってきたさまざまな自然災害、伝染病、そして戦争の歴史を振り返りながら人類の進化(はどのくらいしたのか、それともしていないのか?)について問いかける。BUoYのコンクリートの柱には今まさに毎日繰り返されているガザ地区のイスラエル侵攻による惨状の映像が(意図的に)うっすらと映し出され、酸素(?)の量を増やすことで大音響も奏でられる楽器を使い音を響かせ、その空間を俳優たちがそろりそろりと、時に鼻歌混じりで歩き回り、今の社会・世界状況についての問いを言葉で投げかけることで、この場の外(out)で「今」起こっている状況に思いをはせることを促している。

「イスラエルは今すぐ虐殺をやめろ!」といったストレートな言葉がわれわれのとじかけている目を見開かせる。

 

今、東京でアートを、ダンスを観るということの意味、その役割をあらためて問いかける骨太な作品群に感服。