After Life(7/10)

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新国立劇場中劇場で東京グローブ座制作でKAT-TUNの上田竜也主演の舞台「After Life」を観た。

 

1999年の是枝裕和映画「ワンダフルライフ」をもとに作られた、英国ナショナルシアターが2021年に上演し好評を博した舞台「After Life」を逆輸入、日本語に訳し直しての舞台となった。

 

****** 公演サイト より******

 

5人のガイドが待つ空間に迎え入れられた死者たち。

死者たちは、1週間のうちにガイドの導きで生前の大切な思い出を一つ選び、ガイドがその思い出を再現。
選び出した大切な思い出の中で永遠の時を過ごすことを告げられる――。

ガイドに導かれながら、それぞれに思い出を選んでいくが、その中に思い出をいつまでも選べず、独り悩み続ける老人がいた・・・。彼を担当するガイドの2番は、なんとか助けようと彼の過去を調べるうち、ある事実に辿り着く。

1週間の期限を迎え、それぞれが迎える結末とは―。

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是枝(作・演出)作品の初期に数えられる「ワンダフルライフ」は日本国内よりも海外での評価が高く、それゆえに英国NTで是枝作品のファンであるジャック・ソーンの手によりいち早く舞台化されたという経緯があるということだ。

 

アフターライフ(死後)の世界がどんなところであるのか、、天国か地獄か、、審判は下されるのか、、どうもこのあたりの強い関心はAfter Lifeが上演された英国の人々の多くが持つ死生観、宗教観によるところが大きく関与しているように思った。

 

そう、今回の舞台はあくまでも英国版After Lifeの日本語上演であり、元ネタのワンダフルライフとは異のものだということ。

 

もちろんそれはそれで良いのだが、今回の舞台に関しては英国から日本への変換がどうにも中途半端なものとなってしまったため、英国版の伝えたいところ=>”死というものの捉え方を問う” がボケてしまった感がある。

ファンタジックな設定でありながら、人間の根底にある矛盾、問いに焦点をあてているのが是枝作品の魅力であるとするならば、残念ながらその核の部分を強く打ち出すところまでには至っていなかったのでは?

 

それにしても、せっかく日本語で日本における原作物語があるのに、そちらの方からの舞台化を目指さなかったのか。。また違う苦労はあるとしても、そちらの方のアプローチでも面白かったかも、と感じた。

 

 

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