先日夫と、とてもとても久しぶりに
映画に行ってきました。
何を見ようか。散々迷いました。
気になっていた映画がありました。
私がInstagramで
フォローさせていただいている方が
紹介されていた映画、『ミッシング』。
夫にも大まかな内容を伝えました。
すごく興味はあったのですが、
ものすごく心を揺さぶられるかも
しれない。
見終わったあとに、
心がしんどくなってしまったら。
そんなことを心配していて
なかなか決断できなかったのですが。
夫もそれも承諾の上で、
これにしようと
『ミッシング』を見ることにしました。
おもなあらすじを少しだけ。
↓
娘の失踪事件をきっかけに、
情報の荒波に巻き込まれ、
翻弄されていく母親と
その家族たちの姿が描かれる。
ある日、街で幼女失踪事件が発生する。
母親の沙織里はあらゆる手段で
娘・美羽を捜すが、
有力な手がかりも見つからないまま
3カ月が経ってしまう。
世間の関心も薄れていき、
事件に対して冷静な夫・豊とは
感情の温度差からケンカが絶えなくなる。
地元テレビ局の記者・砂田だけは
誠実に取材を続け、家族とも
寄り添う姿勢を見せてくれており、
沙織里が何かと頼りにしている。
そんな中、美羽の失踪時に
沙織里が推しのアイドルのライブに
行っていたことがSNSで知れ渡り
「育児放棄の母」と
誹謗中傷の的になってしまう。
(Wikipediaより引用。)
見終わった率直な感想は、
ただただリアルでした。
強烈にリアルでした。
目の前の現実に感情的に
ただただ必死に向き合う沙織里。
自分の感情を表に出さず、
冷静を装いながら沙織里に寄り添う豊。
誰も悪くないのに
いつしかすれ違っていく夫婦。
夫も同じことを言っていましたが、
本当に当時の私たち夫婦の姿を
見ているような、
そんな感覚でした。
報道の容赦ない現実と
SNSによる誹謗中傷の残酷さ。
夫婦に寄り添い、手を差しのべるものは
誰もいないのか、何もないのか。
そんな中のかすかな希望の光。
社会的にもたくさんの問題提起が
ある作品だと思いました。
この作品を、大きな喪失体験がない人が
見たら、どんな感想を持つんだろう？
とても気になりました。
かわいそうと同情するのか？
自分じゃなくて良かったと思うのか？
おそらく想像をはるかに越えた、
喪失とともに生きるリアルを
感じてほしいなと思いました。
そして、誹謗中傷の恐ろしさ。
見なければいいと言うけれど
見てしまう、
そんなものだと思います。
誹謗中傷のコメントがうつる
その画面の向こうには、
こんなにも繊細で敏感な、
リアルな人間が存在する。
言葉にすると、とても薄っぺらく
なってしまうのですが。
そんなことをもう一度深く考えてほしい。
そんなことを強く感じました。
グリーフのことに触れると。
この作品は娘の失踪という
あいまいな喪失を扱っています。
あいまいな喪失とは
「はっきりしないまま、解決することも
終結することもない喪失」です。
これには2つのタイプがあり、
1つは「心理的には存在しているが、
身体的(物理的)には存在していない状態」
であり、
さよならのない別れと呼べます。
今回の映画のような失踪や、
災害などによる行方不明などです。
もう1つは「身体的(物理的)には
存在しているが、心理的には存在
していない場合」であり、
「別れのないさよなら」と呼べます。
認知症や昏睡・意識不明の状態
などもこれに該当します。
(黒川雅代子他 編著、
あいまいな喪失と家族のレジリエンス
から引用)。
あいまいな喪失は、
その喪失を確証できない、また
終結が不確実であるのが特徴です。
同じ大切な人をなくすことですが、
死別とはまた違った苦悩や葛藤など、
私の想像をはるかに越えたグリーフを
抱えることになるのだろうと
想像します。
どんな喪失であっても
グリーフを抱える人に寄り添い続ける、
1人ではないと感じながら
グリーフとともに生きるを支える。
そんなグリーフケアが必要だなと
改めて映画をみて感じました。
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