長男が突然お空へ。


このできごとは、

まったく何の予想も、想像もしていない

ことでした。


自分の家族が、突然お空にいく。

自分が、子どもをなくした親になる。


想像ですら、

苦しく胸が張り裂けそうになる事態が

現実になりました。

いまだに現実味が

ないときもあります。


そんなできごとを体験してすぐの頃は、

早く元の自分に戻りたい、

いつになったら元に戻れるんだろう。

(元というのは、長男をなくす前の、

ということです。)


当時は

無意識的にだったかもしれませんが、

そんなふうにずっと思っていました。



でも。

長男がお空にいってしまい、

心の中にいくらいるとは思っていても、

現実の世界から、姿かたちはなくなって

しまいました。


もう、その動かぬ現実が

確かにそこにあったんですよね。

もう、その時点で、

長男がお空にいった前と後とでは

大きく何もかも変わってしまって

いたんです。


そのことに気がつくまでに、

当時はしばらく時間がかかりました。


もう、元の自分には戻れない。


私がこの事実をつきつけられたのは、

ある天使ママさんのInstagramでの

投稿でした。


元の自分に戻りたいと思っていた私が、

もう長男をなくした前に戻ることは

できないと知ったときの衝撃は、

今でも忘れることができません。





とてつもない喪失感と悲しさ、寂しさ。

それと同時に、

長男がいないということを、はっきり

突きつけられた。

そんな感覚で、涙があふれてきたこと、

今でもはっきりと覚えています。



当時の私は、

長男がお空にいってしまったことを、

頭ではたぶん理解していたのでしょう。

でも、心がそれについていけず、

ずっと拒否し続けていたのだと

思います。


長男がいないということを、

そのことを知ろうとも思わずに

眺めていたInstagramによって、

突然つきつけられたあの日。


でも、

そのInstagramには、続きがありました。

元の自分には戻れない。

元の自分に戻るのではなく、

新たな自分になり、

長男がいない新たな人生を歩む。

そんなメッセージでした。


今まで、新たな自分になるなんて、

そんな発想自体、ありませんでした。

元に戻る、戻りたいって、

本気で思っていたんだと思います。


元の自分に戻れないことは

とてもつらく苦しかったです。


でも、しばらく時間がたってきて、

元に戻れないことを自覚してからは

逆にそれが楽になったような、

そんな感覚でした。


変わり果てた世界の中で

すべてが同じように、

何もかも元どおりに戻るのは

やはり無理があったからなのかなと、

時間がたって、あの頃を振り返ると

思います。



そうか、長男がいない

新たな世界を歩むんだ。

その自覚がうまれた瞬間でも

あったと思います。


それと同時に、

長男がいないんだという現実と、

私自身がしっかり向き合いはじめた、

そんな瞬間にもなったんだなと

思っています。





今振り返ればですが、

長男がいない人生を歩むことに

折り合いをつけるきっかけになった、

そんな瞬間でした。


今でもいろいろな思いや葛藤はあります。

時間がたって、変化する思いも。


こんなふうに、自分自身の心のなかで、

何度も何度も考えて、葛藤して

少しずつ心に折り合いをつけていく。

これが、グリーフのプロセスなのだと

感じています。