みなさんは、大切なあの人をなくしてから

どのように毎日を過ごされていますか?


直後の頃は、何をする気力もおきずに

一日中悲しみに暮れていたけれど、

最近は少しずつ、日常生活を送れるように

なったり、日々の生活の中で笑ったりも

できるようになってきた。

そんな方もいらっしゃると思います。


でもそんな毎日を送れるようになってきた

と思っていたら、また、

今日は涙があふれて止まらない。

今日は何もする気力が起きずに

一日中家で何もせずに過ごした。

そんな日がやって来ることも

あるのではないでしょうか?


そんなとき、また最初の頃のように

逆戻りしてしまった。

そんなふうに感じることは

ありませんか?


私もよく、こんなふうに思っていました。

一日のうちでも、目まぐるしく気持ちが

変化することもあり、

それに戸惑っていたこともありました。


でもこれって

本当に逆戻りなのでしょうか?




結論から先に言うと、

逆戻りではなく、揺らぎなんです。

揺らぎは、グリーフのプロセスであって

自然なことなんです。





グリーフのプロセスは、

苦しみから徐々に回復していく

みたいなイメージを持っている方も

多いと思います。


確かに、すべてが間違いだとは思いません。

私も時間が経過して、

悲しみや苦しみが変化している

実感はあります。


でも、苦しみから回復への

一方向ではないということです。



オランダの心理学者

マーガレット・S・シュトレーベら

によって提唱された

二重過程モデルというのがあります。


大切なあの人との関係や絆に焦点を当てた

喪失志向(大切なあの人を思い慕う、

涙する、死の状況や死が意味するものを

検討することなどが含まれる)と、


大切なあの人がいない

今後の生活や人生に焦点を当てた

回復志向(大切なあの人がいない中でも

新しい生活や役割、人間関係に

目を向ける、新しいアイデンティティを

確立することなどが含まれる)

とがあります。


喪失志向と回復志向という

二つの志向の間を

行ったり来たりして、

揺らぎながら

グリーフのプロセスは進んでいきます。


グリーフケアでは、むしろ

喪失志向だけとか回復志向だけとかに

傾いているよりも、

この二つの間を行ったり来たりして

揺らいでいるほうが

グリーフのプロセスは進みやすい

とされています。


喪失志向から回復失志向へ揺らぐ、

逆に、回復志向から喪失志向へ揺らぐ。


どちらも逆戻りしているのではありません。

グリーフのプロセスを歩んでいるのです。

そんなご自身を、

逆戻りしてしまったと否定するのではなく、

認めて受け止めてあげてくださいね。