【ハイクポップの極み】ちあきなおみ『百花繚乱』(1991年10月23日) | Noda Rhythm(野田リズム)盤店 "ハイクポップ(High Quality Pops)" 専門店

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ちあきなおみ『百花繚乱』

 

 

1.百花繚乱
                (作詞:水谷啓二 作曲:倉田信雄 編曲:倉田信雄)
2.部屋
                (作詞:小椋佳 作曲:小椋佳 編曲:倉田信雄)
3.時の流れに
                (作詞:吉田旺 作曲:倉田信雄 編曲:倉田信雄)
4.あなたのための微笑み
                (作詞:小椋佳 作曲:小椋佳 編曲:服部隆之)
5.祭りの花を買いに行く
                (作詞:友川かずき 作曲:友川かずき 編曲:倉田信雄)
6.ほうずきの町
                (作詞:水谷啓二 作曲:服部隆之 編曲:服部隆之)
7.嘘は罪
                (作詞:水谷啓二 作曲:杉本真人 編曲:服部隆之)
8.紅い花
                (作詞:松原史明 作曲:杉本真人 編曲:倉田信雄)
9.そ・れ・じゃ・ネ

                (作詞:吉田旺 作曲:倉田信雄 編曲:倉田信雄)

 

 

◆ハイクオリティポップスの極みと言っても過言ではない、

ちあきなおみ、1991年リリースのオリジナル・アルバム『百花繚乱』。

活動休止が続いている現時点で最後のオリジナル・アルバム。

 

 

ちょっとネットを見れば、あらゆる著名人が口をそろえてその歌唱力の高さを絶賛しています。

わたくしも、日本一くらいに思います。

技術的なことはもちろん前提として、

その声には、成分としての”ブルース”や”ソウル”を感じるし、精神としての”ブルース”や”ソウル”も感じられます。

だからこそ、ただ歌が上手いという表層的な触感だけでなく、

さらに深層を突かれる様な痛感もあるような気がします。

とにかく”届く”。

上手い下手という尺度でない”届く””届かない”という尺度。

圧倒的に”届く”。
 

全ての作品にそれは通底していると思われます。

 

 

 

本稿のアルバム表題曲の「百花繚乱」。

読んで字のごとく、しゃべって言葉のごとく、聴いて音のごとく、

「百花繚乱」というタイトルの曲史上、最も”百花繚乱”な楽曲。

豪華絢爛な楽器のレイヤー、プログレッシブなアレンジの展開、飄々と舞台を舞う様な歌、

凄い。奮えます。

”和””雅”が根底にありつつも、

歌謡曲的なヌケのよさもあり、オーケストレイションのゴージャス感、ロックなビート、

それらの混合が凄まじく、ハイクオリティなポップスと呼ぶには物足りない、”極み”の世界。

こんな楽曲、誰が歌いこなせるのでしょう、彼女だけです。

 

 

 

そしてさらに凄いのが、

先述の”和””雅”に根差した楽曲から遠く距離を置いた様な、
「時の流れに」「そ・れ・じゃ・ネ」といった普通のオシャレなポップスも共存しているところ。

(「百花繚乱」の基軸からすると”普通”という尺度がもはやどこにあるのかわからない状態で言ってます。)

ソフィスケートな歌唱で、先ほどとは全く違った表情を見せてくれています。

こちらももちろん”届き”ます。

 

 

 

そして現在ラストのシングル曲である「紅い花」。

自身の最もヒットした楽曲「喝采」の系譜にあたるような、抒情的なバラードです。

ほんとに美しい。

作曲の杉本真人氏は、小柳ルミ子「お久しぶりね」をはじめとした割とこってりとした”The 歌謡曲”なスタイルだなと思っておりますが、

この「紅い花」に関してもとても大味なメロディーで、歌う人によっては凄くこってりと仕上がりそうではあります。

しかし、

ちあきなおみ氏のそれは、とても瑞々しく、優しく、深く、艶やかで、嫋やか。

こってりとした強いメロディーに瑞々しい歌が乗ることで、とてつもない飛距離を生み出しています。

この場合の飛距離というのは、時代を跳躍するという意味での飛距離でもあり、

深層に”届く”という意味での飛距離。

 

最後の最後にマスターピース。

 

 

 

過去作も名唱、名盤ばかりです。

全て聴きたい。