【ハイクポップの名作】いしだあゆみ『いしだあゆみ』(1981年11月21日) | Noda Rhythm(野田リズム)盤店 "ハイクポップ(High Quality Pops)" 専門店

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いしだあゆみ『いしだあゆみ』

 

 

01. 赤いギヤマン

                ( 作詞:岩谷時子 作曲:滝沢洋一 編曲:井上 鑑 )
02. 波になって

                ( 作詞::呉田軽穂 作曲:戸塚省三 編曲:井上 鑑 )
03. 砂時計

                ( 作詞:呉田軽穂 作曲:戸塚省三 編曲:井上 鑑 )
04. ふたりでサンバ

                ( 作詞:岩谷時子 作曲:滝沢洋一 編曲:井上 鑑 )
05. 夢さがし

                ( 作詞:岩谷時子 作曲:佐藤 健 編曲:井上 鑑 )
06. 乃木坂メランコリー

                ( 作詞:岩谷時子 作曲:滝沢洋一 編曲:井上 鑑 )
07. ボンジュール・ノスタルジー

                ( 作詞:ピエール・ドラノエ 訳詞:岩谷時子 作曲:ミッシェル・フュガン 編曲:井上 鑑 )
08. 孤独な旅人

                ( 作詞:呉田軽穂 作曲:佐藤 健 編曲:篠原信彦 )
09. おとこたち

                ( 作詞:岩谷時子 作曲:佐藤 健 編曲:篠原信彦 )
10. BLIZZARD

                ( 作詞::呉田軽穂 作曲:滝沢洋一 編曲:篠原信彦 )
< Bonus Tracks >
11. 羽衣天女

                ( 作詞:阿木耀子 作曲:中崎英也 編曲:井上 鑑 )
12. 囁きのリフレイン 

                ( 作詞:阿木耀子 作曲:玉置浩二 編曲:井上 鑑 )

 

 

 

◆ハイクポップ(ハイクオリティなポップス)専門店の今回のドロップはこちら。

いしだあゆみ、1981年のオリジナル・アルバム『いしだあゆみ』

 

これをラストアルバムにしようという意図が最初からあったのか、なかったのか、

自身の名前を冠した本作が、オリジナル・アルバムとしては実質ラスト・アルバムに。

 

 

過去には、

筒美京平に支えられ、ゲンズブール×バーキンかのようなフレンチ歌謡、さらには、

バカラック×ワーウィックかのようなポップス歌謡を量産した時期がありつつ、

ボサノバを思わせるヨーロピアンな名作『FANTASY』、ティンパン・アレイとタッグを組んだCitypopな『アワーコネクション』

といった、洋楽に軸足を向けた作品が多かった彼女の音楽歴でした。

いしだあゆみのアンニュイなボーカルを思えば、

日本的な純歌謡にとどめておくにはもったいない、そう会議で決まったことは想像に難くなく、

至極真っ当なマッチング。

 

 

しかしここへきて、

81年当時のシーンに呼応したかのような歌謡曲的な作品をリリース。

しかしそこは、

アレンジに井上鑑をメインに置き、フュージョンバンド”PARACHUTE”のメンバーを演奏に配備して、

ハイクオリティなアーバン歌謡を担保しています。

が、基本的にはいしだあゆみの歌声のマイナー調な響きに沿うように、そのアーバンさをより歌謡軸にカスタマイズ。

一聴すると歌謡な楽曲だけどオシャレな響きが節々に垣間見える、めちゃくちゃいい塩梅を見つけているアルバムだと思います。

 

 

同年リリースで、同じく編曲を担当して大ヒットした寺尾聡のアルバム『Refrections』で、

井上鑑はアーバン歌謡の金字塔を打ち立てたわけですが、

その方法論を落とし込んだ様な「波なって」「乃木坂メランコリー」は素敵にアーバン。

「波になって」なんて、いしださんの歌のソフィスケートな部分を見出していてさらにアーバン。

この、都会的で洗練された楽曲に、アンニュイでウィスパリングな歌声が乗ることで生まれる洒脱感が、

後に いしだあゆみ→ 佐藤奈々子→ カヒミカリィ という系譜を生み出しているとも想像されます。

(個人的な誇大解釈によると)

 

 

そしてそして、アルバム後半に鎮座する、呉田軽穂作詞の傑作バラード「孤独の旅人」。

美メロではありますが、歌う人によっては重たすぎな印象を受けそうな重厚さ。

先述の通り、ソフィスケートされたいしだあゆみの歌声だからこそライトに聴ける。

素晴らしい落としどころだと思います。名曲。

 

 

 

 

レコードガイドブックなどであまりピックアップされない、

こういうアルバムを再発してくれるのは本当にありがたいと思います。