懐かしさ

愛しさ

切なさ

物語は終幕に近付く

何かがはっきりと姿を表して

幕袖で待機して

結末で華麗に舞う


ただ

すべては脚本次第だから


どんなにつまらないストーリーで


どんなに客が席を立とうとも


ステージは終わらない


ステージに立てば
どんなに罵声を浴びようとも
役者はステージを降りられない


賛否両論なものだから

評論家の意見さえ参考程度


演出や小道具や衣装やメイク


時にはアドリブ


悲劇や喜劇やアクションやラブストーリー


すべての要素は詰め込めないけど


ドラマチックな展開に

胸踊る躍動感


きっとあるはずだ


この長いステージの上では
言葉がさ迷っては確信を逃がす


すれちがう気持ちが∞を描いていると思いたい日の午後は
交わることを期待しない解放的な線の道筋


誰かの蛇行した道が横目で見掛けたその線を滑稽に思っても
描くことはやめない


交わって絡まった線をほどこうと伸ばす手に絡まり付いたのは
ほどこうとすればするほど絡まり途切れそうになる繊細な糸


手は出せても

届かずに千切れる未来が手に絡む


自分の線さえ引けずにいる昼下がりの抵抗


交わるほども接近しない線の先は
諦めにも似た清々しさを帯て
真っ直ぐに伸びていった


そしてまた

手を伸ばすのは



いつか見た滑稽な線

その絡まり



そうして
やがては束になり
糸を形成しては千切れることで頑丈になる


僅かな時に委ねられた線は

もどかしさをもう愛してはくれないのか


今はただ無機質なその体に張られた弦

音を生んでは
使い手に奏でられる時をただピンと
弾くだけで切れてしまうほど繊細な直線で


どんなに奏でても

決して届かない


決して言葉にはならないただの音


ただまだ伝えることはできる


その無口な音で



この小さな音が配列されて
その耳を通り抜けて響くのはいつだろうか


今はまだ無口なただの弦



こんな切羽詰まった状況で笑う。焦りはあるけど、焦って大切なものを見つめられずに駆け足になるのはいやなんだ。


震えるほどの苦しみだとしても、瞼を閉じて、耳を塞いでしまうよりも、よっぽど滑稽に震えるべきだ。恥べきものは正直さじゃない。素直になることを怖がっちゃいけない。恥べきは考えを投げ出して、避けてしまうことなんだ。


当たって砕けろ


とは言うものの、砕けるくらいの勢いは必要だけど、ただ砕けることに対しての悟りなら砕けるだけだ。砕けるくらいの勢いはあっても、砕けないための対策や砕けない可能性を見い出さなきゃね。


堂々と砕けに行く。けど、砕けるために行くんじゃない。ぶつかって、砕くために行くんだ。


だから、いつだって必要だ。


砕けるかもしれない僕には。


砕けないって思っていられるくらい、笑うこと。いつだって眉間にしわを寄せていたら疲れるからね。そんな僕の顔を見て、くだらないって笑ってくれる砕けた人が。


砕けた破片を集めてくれるような。


だから

こんな切羽詰まった状況でも笑えんだよ。