“大沢在昌” 『雨の狩人』、book | No pain!,No gain! by #15K.U

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“まかぬ種は生えぬ” “労なくして益なし” “痛みを持って陣地を得る”
2012/06以降、継続的な“run” や“trailrun” に目覚めた事と
高校・大学でのRugbyの記憶がcross overする。そして、
OVER50でこれからも“pain”&“gain”の人生でありたい…



“大沢在昌” 『雨の狩人』


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
新宿のキャバクラで、不動産会社の社長が射殺された。
捜査に当たった
新宿署の刑事・佐江と警視庁捜査一課の谷神は、
その事件の裏に日本最大の暴力団である
高河連合の影があることを突き止める。
高河連合最高幹部の延井は、
全国の暴力団の存亡をも左右する一世一代の大勝負
「Kプロジェクト」を立ちあげ、完全無欠の殺し屋を使い、
邪魔者を排除しようとしていた。
佐江、谷神と高河連合が、互いの矜持と命をかけた
“戦争”を始めようとする中、
プラムと名乗る一人の少女が現れる。
進むことも退くこともできない暗闇の中にいた佐江は、
絶望をたたえたプラムの瞳に、一縷の光を見出すが…



“新宿鮫シリーズ” に代表されるハードボイルド作家です。

本作も “狩人シリーズ” として既に3冊刊行されています。

実は私、“新宿鮫シリーズ” も読んだことがなく、

本作の “狩人シリーズ” も初読みなんです。。。


しかし、シリーズ物以外は結構読んでいて、

かなり好きな作家のお一人です。。。


個人的には “冬芽の人” “海と月の迷路” などが、

印象に残っています。。。


本作では新宿署のマル暴担当刑事で、

左江というなかなか主人公としては登場しないような

特異なキャラクターが異彩を放っています。。。


左江は、

警察社会での階級や出世に全く興味を持たず、

周りからの評価や見てくれなどは気にも留めず、

群れを嫌い他とは迎合しないアウトローデカで、

署内一の厄介者と嘲弄されています。。。


しかし、

マル暴担当一筋で誰よりも管内の裏社会に精通し、

また、

意外にも誰よりも悪や暴力を憎む信念の人です。。。


そして、その強い信念は、

ありがちな裏社会との取引や癒着といった

ダーティーな部分を決して受け容れることもなく、

結果として、悪に弱みを握られることもありません。。。


ですから、

マル暴一筋で長期に渡り同じ管内にいながらも、

裏社会との間で情報漏洩などの不祥事を起さず、

署内では厄介者と揶揄されながらも結果を残し、

上層部や組対課としては唯一無二の存在として、

手放すことのできないスペシャリスト的存在です。。。



話の方は暴力団が、

暴対法などによる封じ込め施策によって、

資金源としての表のシノギを失いつつある中、

人権を擁護される暴力団構成員でない悪のカタギを

隠れ蓑として利用しながら組織の存亡を図る話です。。。


そこに、

前述の左江と謎の警視庁捜査一課谷神が立ち向かい、

フィリピンで腕を磨いた日本人の殺し屋とその娘などが

入り乱れ…なかなか面白くて楽しめました。。。^^v


最後の方は、

警察 vs. 暴力団 の抗争で無茶苦茶な殺し合いになり、

左江を除くほとんどの人間が死んでしまいます。。。


真実は双方の上位団体の利害を守るために、

闇に葬られてしまいます…上は同じ穴の狢です。。。


本文にも度々出てきましたが、

規制を強化し表面的に暴力団による犯罪を減らしても、

見えない部分で狡猾に組織化された犯罪は増加し、

結局、何も変わらないという無力感を感じました。。。


最後まで生き残った、左江はどうなるんでしょうか^^?

結構、気に入ってしまいました^^!

是非、復活した続編を期待したいと思います。。。^^!



2年ほ新宿に隣接する渋谷区の隣駅に住んでいたので、

新宿界隈の描写は懐かしく思いました…

女占い師と雨が、なんとなく新宿らしくて象徴的でした。。。^^v


 








       


     




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