われた窓ガラスの向こうで空が明るくなった。
夜明けからふり続いていた雨も弱まり、ようやく止んだ。
太陽が顔を出すと同時に街の様子が明らかになりだした。
焼け落ちた屋根に破壊された家そして、道ばたに転がる動く事の無い人びと
少女は泣きたかった。悲しみに顔がゆがむ
目の奥にせき止めた涙がこぼれそうだった。
しかし、涙は出ることは無かった。
少女は通りに倒れた人を見ていた。
通りは血で赤く染まっていた。
体は冷えきったのに、寒さを感じない。
目を閉じるたびに暗闇の中で記憶が蘇る。
あの時の自分はできる事をしたと思った。
考える間頭にはあの時の恐怖が蘇る
あれはとても現実ではない夢でないかと錯覚した。
しかし、血の臭いがただよるのを見て、それが夢でないと言うのはわかっていた
これから、どうするか?彼女がそう思った時だった。
「寒い?」
声が聞こえ
少女は目をやると
荒れ果てた部屋で
クマのぬいぐるみが少女を見ていた。
「君の名は?」
少女は答えなかった寒さで震えていた
のを見て、ぬいぐるみが少女に近づいた。
「火を起こしてあげるよ。温まるぐらいに」
小さな火花がついて近くの暖炉に火がついた。
少女はよろよろと火に近づくと体を丸めて手をかざした。
しばらくして、彼女は口をひらいた。
「助けてくれて、ありがとう」
その声にぬいぐるみは手を挙げた
「私は、さくら、宮脇さくら、あなたは?」
その名を聞いてぬいぐるみは黙り込むとすぐに口をひらいた
「あなたをさがしていたよ…さくらたん」
「どうして、その名を?」
「まさか、ブラウニー?」
さくらは立ち上がるとそばに駆け寄りぬいぐるみを抱きしめた
「ブラウニー!ブラウニー!」
感動の再開に浸る二人だったが、
その声は不運にも近くの通りにも聞こえてしまった。
「声が聞こえたわな?」
「聞こえたな」
「ほな、戻る前に始末せぇんと」
謎の人物が向かってるのを知らずに
二人は儀式を行っていた。
「ブラウニー…私は、あなたを生涯の友として誓いをたてます。私たちは死ぬ時まで一緒だよ…」
さくらは左手をブラウニーの額にかざしたすると
次の瞬間ブラウニーは光に姿を変えると
さくらたんの全身に光を惑わせて
左手に熊の紋章の指輪がつけられた。
腰には桜色の鞘と紋章の入った剣が装着された。
さくらが息をついていると急に部屋のドアが空いた。
「こんなところに隠れてたわ」
部屋に入ってきた人物を見てさくらは顔を歪めた
見覚えのある鎧と虎の紋章
その姿にさくらは怒りがこみ上げて来た。
「難波軍…」
さくらはポツリと言った
「なんや…知ってんのかい…ほんなら話は早いわ…しんでもらうわ」
難波の三人は剣を抜くと斬りかかった
「わ、私たちは命令にしたがっただけなんだよ、本当はこんなことする気はないよ…だから、見逃して」
「だめだよ…そんなの」
さくらは言った
「今、なんて?、耳がおかしくなったかもしれない、今、だめって?」
「そうだよ。だめだよ」
「あなたの心に…」
「や、やめろー!」
剣を鞘に納めると同時に何かが倒れる音が聞こえた。
「あなたのためだよ…私は、自分の弱さに気づいたよ。もう…血は見たくない、けど、あなたたちの血なら平気だよ…」
「さくら咲け!」
さくらは、剣を鞘に納めるとその場を後にした。