女性誌に連載されている、女優さんの子育てコラムを読むのが好きだ。

以前、井川遥さんのコラムを読んだ。井川遥と言えば、私が学生のときにはまだグラビアの仕事をされており、あのぽってり唇が女の私でも色っぽいな~と思ったことを覚えている。当時付き合っていた人の部屋に遥のポスターが貼ってあり、無性に腹が立った私は遥にチョビひげと極太まゆを油性ペンで書いて、後でとても怒られた。
そんな若い男たちを虜にした遥も今は私と同じ、子育て真っ最中だという。読むと「仕事の前日に子どもの具合が悪くなり、準備が思うように進まなかった。自分の中では8割くらいの仕事しかできず、情けない気持ちになったこともあった。」とか「お弁当を食べてくれていないと腹がたつから、うちでは子どもの好きなものを詰めるようにしている。」とか、フムフム、なんだ遥も私と変わらないじゃないかと親近感120%のようなことが書いてある。
しかし遥に限らず、よく女優さんやモデルさんのコラムで出てくるのがお弁当や料理の写真だ。もちろん100均のお皿などではなく、そこにはオシャレなお皿かわっぱ弁当のような自然派の器に盛られた、色彩豊か&栄養満点の料理の写真が並んでいるのである。
ここで「ほんとに自分で作ったの!?」と本に向かって一人ツッコミをしている一般庶民の私がいる。そんな綺麗な長い爪で米と研げるか!?と、もはや姑の勢いだ。著名人の懐事情は知らないが、きっとお手伝いさんがいて、料理も洗濯も掃除もな~んもしなくてよくて、たまにこうやってコラムの仕事用に写真だけ撮るんだろうなぁと妄想バリバリでページをめくる。
しかしまてよ。料理や掃除の代わりがいても、母親の代わりはいないのだ。夜中に子どもが泣けば、あの華奢な腕で抱っこをして、授乳をするだろう。うんちやおしっこをすれば、あの綺麗な手でオムツを交換するだろう。悪いことをすれば叱り、良いことをすればギュッと抱きしめる。
そう、例えお手伝いさんがいたとしても、遥の代わりはいないのだ。そう思うと、やっぱり親近感が湧いてくる。
同じ時代に、同じような年頃の子どもたちと日夜奮闘している井川遥は、雲の上の人というよりももはや同志だ。そんな遥さんに心からエールを送りたい。そして私も、もう少し身綺麗にして、憧れのママまでいかなくとも、子どもたちに「お母さんかわいいね♡」と言われる女性でいたいものである。

2017.9.11