先日、友達とコロナ対策では社会主義と民主主義のどっちが良いか、
みたいな話をしてそれなりに面白い議論になったのですが、
実際に国が国民の情報を管理したり行動を制御することが出来たらどうでしょう。
デメリットとして、自由とかプライバシーの問題が一番大きいですし、それが大きすぎで私自身もマイナスのイメージを持っていますが、
社会問題を解決するための効率性を考えると、「プライバシー」って障壁になっているようにも思えます。
例えば、私の専攻分野である交通計画で言えば、
携帯のGPS等で計画対象範囲の一人ひとりの交通行動を解析し、そこから正確な需要予測が出来れば、
熊しか歩かない道路だとか、空気しか乗らない地下鉄だとか、
そういった、予測を外して非効率になる事業を防ぐことが出来ます。
実験的な感じで被験者に許可を得てやっているところもあるらしいのですが、
範囲を広げようとするとプライバシーの問題が課題点として絡んでくるそうです。
現在の主流はアンケート調査ですが、
鉄道の新線とか想像上の話になるとどうしてもプラスのイメージが大きくなり、
完成後の実際の利用頻度よりも過大評価されてしまうリスクがあります。
ところで、感染者の感染経路を強制的に解析できたとしたら、
自称「感染経路不明」の人たちの9割くらいは夜のお店に行ってたことが明らかになったりするんですかね。
そういった人たちがスガやユリコやバッハのせいにして批判しているという構図なら、
人を轢いて車のせいにした池袋の暴走老人のことをバカには出来ないような気もします (笑)
(※別に夜のお店を叩くつもりはないですし、人によって自身や家庭の事情も全然違いますから、各々が他人に迷惑を掛けない範囲で自分なりに責任をもって行動をしていれば、第三者が口出しをする必要はないと思いますけどね。本当に叩かれるべきなのは意図的に迷惑をかけようとする人たちだと思います。)
さて、この日は青春18きっぷを使ってJR川原湯温泉駅にやってきました。
ここから歩いて八ッ場ダムへ向かいます。
八ッ場ダムは、昨年の夏休みの実習でタダで見学に来れる予定だったのですが、コロナによる大学の判断のせいで中止に。
代わりにYouTubeで八ッ場ダム建設の動画を見てレポートを出すだけという、こちら側の授業料としては大損害となったうえ、
土木オタクの私としては、八ッ場ダムの個人的興味だけは湧いてしまうという、
お財布的にあまり宜しくない結果になってしまったのでした。
駅から八ッ場ダムまでは徒歩20分ほどの距離がありますが、ダム湖の横に新しい道が整備されてます。
まだ沈みたてなので、水中から木が生えているように見えて幻想的な感じ。
この時期なので日が差すと暑いですが、標高がやや高いこともあり、風が涼しいです。
でも、風がないと暑いです。どっちやねん。
ただ、付近の山一帯にヒグラシの鳴き声がこだましているので、
やはり山奥らしい涼しさを感じます。
必死に生きている他のセミたちには少々失礼ですが、
セミの鳴き声がヒグラシに変わるだけで暑苦しさがだいぶ和らぐのはなぜでしょう。
音の効果って不思議ですね。
人間の感情や判断って先入観への依存度がやたら高いですし、
経済学だとかコロナ禍での行動選択だとか、
合理性の観点ではそれがデメリットに働くこともありますが、
涼しい音のイメージというものは、暑さによる心理的負担を和らげてくれるので助かりますね。
ダム湖周辺は令和の新しい町って感じになっていて、
このようにダム湖へと注ぐしょぼい川も綺麗に整備されています。
奥に見える橋は八ッ場大橋です。
ダム本体よりも早く建設されたので、民主党政権時代にダム建設が中断された際にはその象徴的存在になりましたね。
水理学の授業を取っていたとき、先生がいつも雑談で当時の政策をバカにしていたので面白かったです (笑)
堤体が見えてきました。
まだ新しいので綺麗ですね。
天端は新しいダムらしく、とても広いです。
横から見るとこんな感じ。
高さ116 mあるのでそこそこ大きい方ですね。
…そういえば期末試験で高さを答えさせる問題が出たなぁ (笑)
さて、八ッ場ダムには放流設備が5種類あります。
それぞれの役割を知ってから見た方が面白いと思うので、
先に各ゲートの役割を紹介します。
1,発電放流設備
→ 水を発電所へ送って発電に使うための設備。2と同じ経路を通って途中で枝分かれ。
2,利水放流設備
→ ダム下流の水量を保つための放流設備。選択取水設備を使って任意の水深から取水できる。
3.水位維持用放流設備
→ 大雨でダム湖への流入が増えた時に、湖の水位が増えないよう調節するために使う。
4,常用洪水吐
→ 3では放流量が足りない (流入が大きく上回る) ときに放流。
5,非常用洪水吐
→ 頂上にあり、ダム湖が溢れそうになったときに開ける最後のゲート。
簡単に言うと、 (一般的には) 必要な放流量が多くなるにつれて
1から5まで順番に移行していくことになります。
で、内部の構造を図にするとこんな感じになります (ダムを真上から見たときの内部構造)。
去年書いたレポートと資料館の展示資料を照らし合わせながら描いたので、多分合っていると思います。
さて、エレベーターに乗って下に降りてきました。
赤い橋が目立ちますね。
橋の上に立つと堤体をこんなに間近に見ることができます。
頂上に見える4門のゲートが非常用洪水吐。お決まりのラジアルゲートが付いています。
順番が前後しますが、資料館にラジアルゲートの分かりやすい模型がありました。
下流に被害が出るレベルの時にしか開けないので普通は見れない…というか頻繁に見れたら困るのですが、
開く動作だけでも見てみたいような気はします。カッコいいだろうなぁ。
目線を下げると3つの穴が見えます。真ん中の高いやつが水位維持用、左右の2つが常用洪水吐です。
穴の上部がフタみたいなデザインになっていてオシャレですね。
ここから反対側に穴が貫通していて、その途中 (堤体内) に高圧ラジアルゲートがあります。
非常用洪水吐のラジアルゲートとは異なり、常に反対側から水に押されている状態になるため、
高圧に耐えられるようにより頑丈な構造になっているらしいです。
後ろを振り返ると、利水放流管から激しく放流中。
利水放流も大放流のジェットフローゲート (左側) と小放流のホロージェットバルブ (右側) の2種類の出口があります。
ちゃんと確認しなかったのですが…たぶん、小放流の方でしょうね。
この時の放流データを見ると10 ㎥/秒だったのでそれほど多くはないのですが、
それでもこちらまで水しぶきが飛んでくる勢いです。
大雨の時にここに居たら大変なことになりそうですね。
下流側は左に急カーブしていて、吾妻峡へと続いていきます。
上に戻って、ラジアルゲート部から下流側を眺める。
そろそろ天気が崩れる予報だったのですが、晴れていて景色が良いです。
一方でダム湖側を覗いてみると、常用洪水吐の予備ゲートが見えます。
中の高圧ラジアルゲートを点検する際に、こちらの予備ゲートをスライドさせて閉めて使います。
ダム湖側を見ると、予備ゲートが3つ並んでいます。
その左にあるでっぱりが選択取水設備で、これにもまた特徴が。
選択取水設備の中はこんな感じ。
連続サイフォン式という名前で、への字型のサイフォン管が全部で29段並んでいます。
への時の頂点部分に空気を充満させておいて、取水したい高さの管の空気を抜くことで、
そこから水が取り込まれます。
これによって利水用の水を任意の高さから取水できるわけです。
資料館でダムカードをゲット。
帰る前に、資料館のすぐ横にある「やんば茶屋」でラーメンを頂く。
スープには上州丸鶏、チャーシューは上州豚を使っているらしいです。
これがかなり美味しかった!他にも人気の塩ラーメン、上州豚を使った豚骨ラーメンもあるので、
次はここのラーメンを目的に来てみたいです。
【 八ッ場ダムのプロフィール 】
■河川名 : 利根川水系吾妻川
■型式 : 【G】重力式コンクリートダム
■ゲート :
クレストラジアルゲート×4門
コンジット高圧ラジアルゲート×3門
ジェットフローゲート×1門
ホロージェットバルブ×1門
■堤高 (高さ) : 116.0 m
■堤頂長 (幅) : 290.8 m
■総貯水容量: 1億750万 m³
■管理者: 国土交通省
■着工~完成 : 2014年~2020年
■目的 : 【F】洪水調節 / 【N】河川維持用水 / 【W】上水道用水 / 【I】工業用水 / 【P】発電
※データ引用元:ダムカード
帰りは左岸側から八ッ場大橋を渡って戻ります。
ご覧の通り今は完全なダム湖ですが、実はここにはダム建設前にも来たことがありまして…
これです。2015年9月に、1つ上流にある不動大橋から撮った写真です。
たぶん右奥にちょこっと写っているのが今いる八ッ場大橋ですね。
湖の下にこのような光景が広がっているなんて、想像も出来ないですよね。
橋を渡っていると途中にジャンプ台を見かけました。恐ろしいです。
多少は興味があったりしますが、幸い私の周囲にはこういうのをやりたがる人はいなさそうです。
そんなことよりも、予定外に美味しいラーメンに出会ってしまったので、
またラーメンを食べに行きたいです。記事の趣旨が違いますね笑
ということで、今回は以上です。
今日もご覧いただきありがとうございます。