【ふくざつかいき】
非常に込み入っていて、普通では考えられないような不思議なさま。

◇  ◇  ◇

先日バーで飲んでいたら、ヤカマしいオッサングループが入ってきた。

話しぶりが不躾だだったり、少々音量が大きかったりする程度なら何とも思わないのだが、あろうことか彼奴ら、そこで映し出されている映画の結末をバラし始めた。不届き千万、私に恨みでもあるのかと言いたくなる所業。貴様は浜村淳かっ!世が世なら手討ちにいたすところだ。

このようなひと滴の想像力をも持ち合わせていない輩は、会社勤めなどできない筈である。

想像力がなければ、簡単な手順を理解できず幾度も注意を受けたり、報告の必要性を考えず進行を大きく遅らせたり、言付けを噛み砕けず歪曲して伝えたりと、会社勤めどころか、人間として存在していることすら危惧されるような愚劣ぶりを発揮するだろう。

しかし現実はあいにく残念である。

彼奴をよく見ると、毎日それなりに会社に通っていそうな風情で、飲みに来ているぐらいだから当たり前に日銭は稼ぎ、何なら子孫まで残していそうな面々。ニワカには信じ難いが、問題なく人間として存在できているということである。

せめて、せめて私の方が成功できることを祈る。
さすれば慈悲深くあれるというものだ。


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【まじゅうせんかく】
教え諭して、人をよい方向に導くこと。

◇  ◇  ◇

余計なお節介シリーズ第3弾「それは逆さですよお嬢さん」の巻。

とある日曜日のことだった。

何の用事でどこに向かっていたかは忘れたが、私は一人、電車に乗っていた。座れなかったが混雑していると言う程でもない車内、人間観察にはちょうど良い密度だ。

股間に風を当てたいのか、有り得ない幅に股を広げて二人分の席を占領する者。アクション系の携帯ゲームに興じ、死に物狂いで身をよじらせる者。ドアの前で巨木のように根を張り、乗降の邪魔をする者。

何ゆえこうも電車の中は魑魅魍魎が跋扈しているのか……といったことなどを考え、手持ち無沙汰を紛らわしていた。

そんな中で一人の女子が眼に入った。年は25ぐらい、色黒で派手な雰囲気、いわゆるギャルだ。大胆に肩を出したパーティードレスを着ており、いかにも結婚式の二次会に行きますといった風情である。

しばらくのち、胸騒ぎでもしたのだろう、彼女はご祝儀の袋を取り出し、モゾモゾと金額を確認し始めた。水引を外し包みを広げ「1枚、2枚……」。

幸い、皿屋敷のように「嗚呼、1枚足りない」ということはなかったようで、元へと戻し始めた。紙幣を包み、水引をはめカバンへ。

ところが、よく見るとその水引、上下が逆になっている。これは大変だ、彼女が白い目で見られてしまう。ここで私が教えてあげたらヒーローになれる。ひょっとしてムフフなことが起こるかもしれない。少々香水のにおいがキツくても構うもんか。

私はすかさず彼女に話しかけた「それ、上下が逆ですよ」。
しかし、「あ、すいません」。謝られてしまった。

言うまでも無いことだが、その後はムフフもなく、なんだったら、いらんこと言いやがってみたいな顔をして、目的の駅で降りていった。無念である。

本当は声をかけない方が良かったのだろうか。
答えは死ぬまでわかりそうもない。


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【しちてんばっとう】
激しい苦痛などで、ひどく苦しんで転げまわること。

◇  ◇  ◇

鯖・鯵・鰯・秋刀魚。いわゆるヒカリモノと呼ばれる魚が好きだ。

雑味のある脂、クセのある香り、少しヤンチャな歯触りといった、嫌われそうな個性ばかりを持っているのだが、何故かそこがたまらなく愛おしい。

寿司屋に行けば、まずはヒカリモノのラインアップを確認し、それらを中心としたプランを立てる。そのときの私は、さぞ幸せそうな顔をしていることだろう。

昨夜、軽く飲んだあと寿司屋で夕食をとった。もちろん私は、鯖・鯵・鰯・秋刀魚を堪能し、ついでにその他何種類かのネタを食べて帰宅。のちに就寝した。

横になる時にほんの少し違和感があった気もしたが、意に介さずそのまま目をつぶった。ところが数分後、ウトウトし始めた私の胃の腑あたりに未曾有の痛みが走った。

激しくなる動悸、滴る脂汗、そして激痛。今際の際か。

のたうち回りながら「何食った?なに食った?ナニくった?ナニクったっっ??」と唱えたところで治るワケもなく。そうこうするうちに、空前の逞しさを持った悪心が私をトイレへと。

どうもこの悪心、神の思し召しだったらしい。思う存分嘔吐したところで、痛みや動悸が嘘のように軽くなったのだ。

冷静になったところで改めて原因について分析してみた。

信じたくは無いが、愛しのヒカリモノたちの生食は寄生虫に気をつけろという噂を聞いたことがある。調べてみると、症状はまさにそのもの。

「アニサキス」。皆さんも気をつけて。
私はこれからも懲りずに挑むけど。


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