【まじゅうせんかく】
教え諭して、人をよい方向に導くこと。
◇ ◇ ◇
余計なお節介シリーズ第3弾「それは逆さですよお嬢さん」の巻。
とある日曜日のことだった。
何の用事でどこに向かっていたかは忘れたが、私は一人、電車に乗っていた。座れなかったが混雑していると言う程でもない車内、人間観察にはちょうど良い密度だ。
股間に風を当てたいのか、有り得ない幅に股を広げて二人分の席を占領する者。アクション系の携帯ゲームに興じ、死に物狂いで身をよじらせる者。ドアの前で巨木のように根を張り、乗降の邪魔をする者。
何ゆえこうも電車の中は魑魅魍魎が跋扈しているのか……といったことなどを考え、手持ち無沙汰を紛らわしていた。
そんな中で一人の女子が眼に入った。年は25ぐらい、色黒で派手な雰囲気、いわゆるギャルだ。大胆に肩を出したパーティードレスを着ており、いかにも結婚式の二次会に行きますといった風情である。
しばらくのち、胸騒ぎでもしたのだろう、彼女はご祝儀の袋を取り出し、モゾモゾと金額を確認し始めた。水引を外し包みを広げ「1枚、2枚……」。
幸い、皿屋敷のように「嗚呼、1枚足りない」ということはなかったようで、元へと戻し始めた。紙幣を包み、水引をはめカバンへ。
ところが、よく見るとその水引、上下が逆になっている。これは大変だ、彼女が白い目で見られてしまう。ここで私が教えてあげたらヒーローになれる。ひょっとしてムフフなことが起こるかもしれない。少々香水のにおいがキツくても構うもんか。
私はすかさず彼女に話しかけた「それ、上下が逆ですよ」。
しかし、「あ、すいません」。謝られてしまった。
言うまでも無いことだが、その後はムフフもなく、なんだったら、いらんこと言いやがってみたいな顔をして、目的の駅で降りていった。無念である。
本当は声をかけない方が良かったのだろうか。
答えは死ぬまでわかりそうもない。
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教え諭して、人をよい方向に導くこと。
◇ ◇ ◇
余計なお節介シリーズ第3弾「それは逆さですよお嬢さん」の巻。
とある日曜日のことだった。
何の用事でどこに向かっていたかは忘れたが、私は一人、電車に乗っていた。座れなかったが混雑していると言う程でもない車内、人間観察にはちょうど良い密度だ。
股間に風を当てたいのか、有り得ない幅に股を広げて二人分の席を占領する者。アクション系の携帯ゲームに興じ、死に物狂いで身をよじらせる者。ドアの前で巨木のように根を張り、乗降の邪魔をする者。
何ゆえこうも電車の中は魑魅魍魎が跋扈しているのか……といったことなどを考え、手持ち無沙汰を紛らわしていた。
そんな中で一人の女子が眼に入った。年は25ぐらい、色黒で派手な雰囲気、いわゆるギャルだ。大胆に肩を出したパーティードレスを着ており、いかにも結婚式の二次会に行きますといった風情である。
しばらくのち、胸騒ぎでもしたのだろう、彼女はご祝儀の袋を取り出し、モゾモゾと金額を確認し始めた。水引を外し包みを広げ「1枚、2枚……」。
幸い、皿屋敷のように「嗚呼、1枚足りない」ということはなかったようで、元へと戻し始めた。紙幣を包み、水引をはめカバンへ。
ところが、よく見るとその水引、上下が逆になっている。これは大変だ、彼女が白い目で見られてしまう。ここで私が教えてあげたらヒーローになれる。ひょっとしてムフフなことが起こるかもしれない。少々香水のにおいがキツくても構うもんか。
私はすかさず彼女に話しかけた「それ、上下が逆ですよ」。
しかし、「あ、すいません」。謝られてしまった。
言うまでも無いことだが、その後はムフフもなく、なんだったら、いらんこと言いやがってみたいな顔をして、目的の駅で降りていった。無念である。
本当は声をかけない方が良かったのだろうか。
答えは死ぬまでわかりそうもない。
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