【ちそくふじょく】
おのれを知り、それで満足をすれば辱めを受けないということ。

◇  ◇  ◇

気がつけばランニングを始めて半年が経とうとしている。

以前から想像していたが、走るという行為は、やはり人間を改造する強い力を持っている。みるみるうちにベルトの穴が一つ、また一つと移動していく

効果は身体だけではない。空っぽにした頭で夜の街をひた走っていると、色々なことがクリアに見えてくる……ような気までする。

以前から私は自転車を趣味にしていたので、一人黙々とランニングすることにも楽しさを見出し、それなりの頻度で実行している。そんな姿を客観的に見た人は、「アナタは間違いなくMですよね。しかも“ド”がつく」などと言ってくる。しかし、それは大きな誤解だと教えてあげなければならない。

やってみればスグわかるが、ランニングに苦痛は全くない。そんなものがあれば、1時間、30分、5分だって我慢できるはずがない。競技レベルならいざ知らず、そもそも一般人がそこまで追い込んでは危険である。

そんなこと言ったってどうしても苦しくてダメなんです、続けられないんですという人は、ペースを間違えているだけ。それではたちまち体を壊し、続けられないだろう。私も初めは徒歩とさほど変わらないスピードからだった。

本題。マゾヒズムとは「精神的、肉体的苦痛を与えられることによって性的満足を得る異常性欲」のことである。だからつまり、であるからして、ランニングという苦痛のないスポーツでは、Mは喜べないのだ。

そもそも私はSである。そして、だからこそランニングをしている理由がある。これについてはまた。


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【いちぼうせんけい】
一目でかなたまで広々と見渡されること。見晴らしのよいたとえ。また、広々として見渡される美しい景色のたとえ。

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「めがね~は か~お~の いちぶ~です~♪」とはよく言ったもので、長年メガネ生活を続けていると、本当に顔の、体の一部となっていることに気がつく

メガネが少し下がっていると、レンズの上のボンヤリとした景色を矯正すべく無意識にレンズを上げてしまう。無意識とはすごいもので、メガネを外しているときにまで手が勝手に視界を取り戻そうとする。メガネは無いのに、つまり空振りである。

これなんかはかわいいもので、一度メガネをかけたまま目薬を点してしまった。当然、クスリはレンズが受け止めてくれた。

どっちの行動も、誰かに見られていなければ何てことは無かったのだが、残念ながらしっかりと目撃されてしまった。恥ずかしいったらありゃしない。

そして今朝だ。

いつものように外出の準備を整えているときにまたやってしまった。メガネをかけたまま顔を洗ったのだ。

伝説はそうやって日々生まれていく。次はどんなことをやらかすのだろうか?我ながらワクワクする。


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【にくざんほりん】
宴会などが、ぜいたくをきわめていることのたとえ。

◇  ◇  ◇

ホルモンは旨い。

独特の甘さ、薫り、歯応えなど、様々な味わいがあり酒にもよく合う。部位によってはカロリーも抑えられ、女性にもおススメである。

自宅の近くにお気に入りのホルモン焼き屋があり、ついつい食べに行く。多いときは週に一度通ってしまうことだってある。

しかし最近、ホルモンは恐ろしい危険性を持っていることに気づいてしまった。

あれはゴールデンウィークの初っ端、4月30日のことだった。

その日は野外ライブに誘われ、朝からワインを両手にとある会場へと出向いていた。初夏を思わせる暑いぐらいの日差しと、気持ちの良い音楽に囲まれ、飲めや踊れやの大騒ぎ。それはもう楽しかった。

しかし、楽しい時間はあっという間、ライブ会場をあとにすることになった。「さて、どうしよう」と向かった先は、いつものホルモン焼き屋。まだまだ今日という日をしゃぶり尽くそうという魂胆だ。

その店は、七輪を囲んでジュージューいわせながらホルモンをつつくというスタイル。いつも私は焼き係を担当する。その日ももちろんみんなの分を焼きながら、あーだこーだと盛り上がっていた。

その時である。突然、頭の中で「ガッキーンっっ!!!」という鋭い音が響き渡り、同時にこれまで感じたことの無い激しい痛みに襲われた。硬めの肉を食べていたのが災いしたか、舌の左前部を噛んでしまったのだ。それはもう、親の敵を討ち取ろうかという勢いでである。

その後1分程度だっただろうか、痛みに体を震わせながらその場に凍り付いてしまった。ひょっとしたら失神していたのかもしれない。そう言えば、それまでの思い出が走馬灯のように駆け抜けた気もする。

いつしか正気を取り戻した私は、ハイボールの氷で舌を冷やしながらその日はなんとかやり過ごした。七輪を囲むみんなの目には、地獄絵図と見紛おうかという血みどろの舌が映っていたそうだ。申し訳なかった。

しかし、本当の地獄はこの後に待っていた。連休の初っ端に負った傷は、残念ながらかなりの深手で、連休の終わりまで苦しみ悶えた。

痛みで外出する気も失せ、せっかくの好天にサイクリングもできず。気晴らしに行ったいつものウドン屋では、美味しいはずのダシが傷口を猛攻撃、涙と鼻水にまみれる結果に……。

今年のゴールデンウィークは、ブラッディーウィークとして深く刻み込まれた。心にも舌にも。

ホルモンを食べるときは気をつけてね。


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