原告適格が問題になった判例

 

行政事件訴訟法の判例第二弾は、「原告適格」が問われた判例です。

原告適格」というのは個別具体の事件においてこれを有し、取消訴訟を提起することができる資格をいいます。
過去ログでは、取消訴訟だけではなく全ての抗告訴訟の「原告適格」を覚えるという記事があります。

 

 

そこで暗記したことですが、取消訴訟は、該当処分/裁決の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」のみが原告適格を有し取消訴訟できます。
原告適格がないとは、取消訴訟の訴訟要件の一つである「法律上の利益がない者」からの訴えは【却下】されることを意味します。

取消訴訟において、原告適格に関して覚えるべき判例は、次の通りです。

原告適格」あり

  • 公衆浴場の取消を求める既存業者
  • 保有林指定解除を求める周辺住民 ※
  • 航空運送事業免除の取消を求める飛行場周辺住民
  • 都市計画事業認可の取消を求める周辺住民
  • 場外券車券売場競輪)設置許可の取消を求める区域内の医療施設開設者
  • 原子力発電所取消
  • 鉄道の安全統括管理者解任
  • 里道の用途廃止処分
  • 建築文書公開

原告適格」なし

  • 質屋営業の許可の取消を求める既存の質屋
  • 史跡指定解除処分の取消を求める学者
  • 特急電車認可取消を求める利用客
  • 風俗営業許可の取消を求める周辺住民
  • 場外券車券売場競輪)設置許可の取消を求める区域内の周辺住民
  • 公立中学校教師の転勤


※保有林指定解除を求める周辺住民は「原告適格」はありですが、明日取り上げる「訴えの利益」がないとされ【却下】されました。

 

明日は行政事件訴訟法(取消訴訟)の判例シリーズ最終回として、「訴えの利益」の判例をピックアップする予定です。

 『2024年版出る順行政書士 合格基本書』東京リーガルマインド; 第17版 (2023/12/25),p.460-p.461