自分の仕事にいかに自身をもつことが大切なのかと痛感したエピソードを紹介いたします。
リハビリの仕事って、命に関わるようなものじゃないからこそ、
このような事を自信の無さを感じることがあるっていうエピソードです。
2011年3月11日 東日本大震災がありました。
その時、私が働いていたのは、埼玉県内にある精神科の病院です。
私の病院では、もちろん、被害の大きかった福島県や宮城県岩手県ほどではありませんでしたが、
地震があって1週間はいろいろな混乱や問題がありました。
計画停電 、 それから、ガソリン不足による職員が病院に通ってこれなくなるという問題。などなど。
少なくとも、いつも通りには働けない。
そのような状態でした。
そんな中で私は、作業療法士なのですが、いつも通りリハビリをするというよりも、病院の仕事を少しでも手伝った方がいいのかなと思っていました。
それは、私のような精神科作業療法の仕事というのは、患者さんと歌を歌ったり、工作をしたりする仕事で、非常時に、するような仕事としては、優先順位が低いのではないかと思ったからです。
ところが、そんな時に上司が、こんな一言を言ってくれました。
「今は地震があって、停電もあって、大変な状態かもしれないが、できるだけ、いつも通り、通常通り、仕事をしてくれ。作業療法もできるだけいつも通りやってくれ。」
私は、大変な状況だからこそ、臨機応変に対応するのではないかと思っていたので、上司が「大変な時こそ、通常通りやってくれ」と話された事に少し疑問を持ちました。
しかし、その後、上司はこのように続けたのです。
「地震がありました。停電がありました。ガソリンもありません。物が届かなくなるかもしれません。食べ物もなくなるかもしれません。
こんな状態の時、今一番、心配なのは誰だかわかるか?
もちろん患者さんだ。患者さんは家にも帰れず、家族にも会えず。この安心だかどうだかわからない閉鎖病棟の中に入院しているんだぞ。
だからこそ、普段通り仕事をするんだ。
こんな状況中で、リハビリまでやめてしまったら、いかにも今は本当に非常事態なんだということを患者さんに伝えてしまっているようなもんだろう。
だからこそ、いつもと一緒なんですよということを伝えて、患者さんに安心を確保することが大切なんだ!」
と言われたのです。私はハッとされました。
そうだ!非常事態だからこそ、平常どおりやって患者さんを安心させるんだって納得したんです。
そして、私はもう一つ大きな事に気づきました。
それは、その時の私がいかに自分の仕事に自信を持っていなかったのか?っていうことです。
地震がありました。 停電があります。ガソリンもありません。
そういう状態の時に、「じゃあリハビリやめて他の仕事手伝いますよっ」というのは、自分がいかに自分の仕事を患者さんのためになくてはならいものなのだという自信を持っていなかったかっていうことです。
私はこの事に気づいた時、自分自身に愕然としました。
ピンチの時こそ、自分の仕事に自信を持っているのか?
自分に自信を持っているのか?
が問われるのだなと思いました。
自分の仕事に自信のないまま、
「私の仕事なんて緊急時には大して必要のない仕事なんです。」
なんて言っていたら、患者さんはリハビリを受けられなかったわけです。
それでは、患者さんがますます不安に陥ってしまいます。
私は、この体験から、
自分自身が自分の仕事、自分のリハビリ、自分の治療に自信を持つって本当に大事なことなんだなって思いました。
あなたは自分の仕事に、自分のリハビリに自信を持っていますか?
例えば、もし、上司から、「今日でうちの病院のリハビリ部は解散します。明日からみなさん。看護助手として働いてください」って言われたら、
「それは、おかしい」って本気で、自分たちの必要性を自信を持って伝えることができますか??
私は、自分の仕事にもっともっと自信を持っていきたい。
そして、さらに自分の仕事に自信と誇りを持ったセラピストが増えたらいいなと思います。
私は、コミュニケーションを磨くことでそれが可能になると思っています。
コミュニケーションを磨くことは自分自身とのコミュニケーションを磨くことでもあります。
自分自身とのコミュニケーションを磨き、もっともっと自分の自己肯定感が高まった時、自分のしている仕事についての自信ももっと高まるのではないかなと思います。