うちには、天使がいます。166.コロナ猛威 | うちには、天使がいます。

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ピアノ弾き語り落ちこぼれシンガー・うたうやまねこと、そのパートナーゆかさん、そして寄り目のみけねこメイさんの、命の記録です。



・登場人物
<ゆかさん>
やまねこの奥さん。2020年9月、卵巣がんにより永眠。
2018年4月初めに腫瘍が見つかり、月末にはトルソー症候群による脳梗塞を発症。
手足や会話に障害が出ながら、摘出手術を経て、
2018年9月には全6回の抗がん剤治療も完遂。
諸事情により、ふだんは実家で母と暮らしながら、歩行のリハビリを中心に、
手足のしびれや難聴、高次脳機能障害など、脳梗塞の後遺症や抗がん剤の副作用と闘いつつ、
週末はやまねことうちで過ごす、という生活をしていましたが、
2019年11月12日、ついに新居でやまねことの生活がスタートしたのもつかの間、
12月11日にはがんの再発を宣告されてしまいます。
<やまねこ>
ゆかさんの夫。
落ち着きがなく要領が悪く、おまけにコミュ障。
いまいち頼りないだんなさまですが、
たまにライブハウスでピアノを弾いて歌をうたっていたりします。
<メイさん>
17年前にへその緒つきで捨てられていたところをやまねこと出会い、
それからずっといっしょに暮していた、寄り目のみけねこ。
2018年12月29日、突然猫てんかんの発作を起こし
翌2019年1月9日早朝、病との闘いの末、永眠。


(なお、病院関係者のかたがたほかの名前は、すべて仮名です)


2020年3月29日、ゆかさんは夕方39℃の発熱してしまい、急きょ病院へ。
感染症の疑いは低い、との診断を受けて帰宅しましたが、
翌日からもなかなか熱が下がりませんでした。

30日の朝には36.5℃に下がっていたのですが、
そこから体温がぐんぐん上がり続け、夕方にはまた39℃を超えてしまったようでした。
「ロキソニン飲まずに、どこまで上がるか見てみたの」というメールが来ました。
どうしてそんなことをするのだろう?

急いで帰るとゆかさんは横になっていましたが、
「少し動いたら38.5℃まで下がったよ」と言いました。
話をしていると、「やっぱりコロナなんじゃないかなぁ」と言います。
折しも、志村けんさんがコロナ感染で亡くなった日で、
そんなニュースにも触れてまた心配になったのかもしれません。
ただ、きのうせっかく血液検査までしてもらって心配ないって言われたのに、
「それより血栓とがんの心配しようよ」少し強めに言ってしまいました。

翌日も全く同じようにゆかさんはロキソニンを飲まずに、
どこまで熱が上がるか試した挙句、やっぱり39℃になってしまったらしく、
帰宅したやまねこに「やっぱりコロナかもしれない」と言いだしました。
やまねこは正直「またか」と思いましたが、
「どうしてもPCR検査受けたいの?受けたいんだったら保健所に電話してみるしかないよ」
と言うと、ゆかさんは「電話したってうまく話せないし」と、またキれそうになりました。
「晩ごはんいっしょに食べていいの?」
「やまねこは全くコロナだと思ってないから、かまわないよ」

翌朝もゆかさんの「コロナかもしれない」は止まりませんでした。
やまねこもすっかり往生してしまいましたが、
半分しかたなく、職場から保健所に電話して、
ゆかさんの症状を説明してPCR検査が受けられないかどうか訊いてみました。
「そういうお問い合わせはたくさんいただくんですが、
熱とか咳のあるかた、ほとんどがコロナではなくて普通の風邪だったりするのが現状です。
まずはかかりつけのお医者様に診ていただきますようお願いします」
とてもていねいに対応してくださいました。
電話もなかなかつながらなかったし、同じ対応ばかりでうんざりしているだろうに、
ありがたいことだと思いました。

まだ、そういう時期だったのです。
やまねこはTVを見ませんが、朝のTVなどではコメンテーターが、
「もっとPCR検査、もっとPCR検査」とヒステリックに繰り返していたころでした。
やまねこ的には「検査で病気が治るわけではないだろうに」と苦々しく見ていましたが。

ゆかさんはゆかさんで、また昼間に病院に電話してみたらしく、
あとから主治医の葛西先生がわざわざ折り返してくれて、
呼吸器内科にも相談してみてくれたらしく、明日またCTを撮ることになった、と言ってました。
「今日はロキソニン飲んだよ」と言っていましたが、
それでもまだ37℃台後半の熱があるらしく、からだもとてもだるい、とのことでした。

一方やまねこのほうはというと、今後のLIVEはすべてキャンセルになり、
もしゆかさんにコロナをうつしたら高リスク群なことは間違いないので、
絶対にコロナをもらわないように、できるだけ人と接触しないように、
職場まで歩いていくことが増えました。
約7kmと少し、1時間15分くらいかかりますが、ゆかさんの安全には換えられません。

その仕事のほうもテレワークの話が進んでいました。
ノートPCを使っている社員の人は、すでにテレワークと出勤を併用している人もいましたが、
やまねこはCADオペレーターで、大容量のデータを扱う関係上、
デスクトップPCを使っていて、おいそれと持って帰るわけにいかなかったのです。
職場のPCを遠隔操作するソフトをうちのPCにインストールして、操作できるかどうか試したり、
試行錯誤の時期でした。

ゆかさんにとってもつらい時期に、
新型コロナウィルスは確実に生活を侵食していました。
ゆかさんが亡くなるまで、ハグすることすらできなかったのです。





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3月17日、ワンマンLIVEまであと2週間になりました。

2024.3.17(Sun.)at 御茶ノ水KAKADO
うたうやまねこ2024ワンマンLIVE「Fairy Tales」 → https://kakado.jp/
OPEN12:00/START12:15/CHARGE\2,000+1D
☆今年はスペシャルゲストに加藤恵子さんを迎えてお送りします。
 コラボも予定してますのでお楽しみに♪
 配信視聴はこちらから(CHARGE\2,000) →
 https://twitcasting.tv/kakado__/shop

お時間が許すようでしたら、ぜひ。
お待ちしてますね。