うちには、天使がいます。165.夜間救急 | うちには、天使がいます。

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ピアノ弾き語り落ちこぼれシンガー・うたうやまねこと、そのパートナーゆかさん、そして寄り目のみけねこメイさんの、命の記録です。

 


・登場人物
<ゆかさん>
やまねこの奥さん。2020年9月、卵巣がんにより永眠。
2018年4月初めに腫瘍が見つかり、月末にはトルソー症候群による脳梗塞を発症。
手足や会話に障害が出ながら、摘出手術を経て、
2018年9月には全6回の抗がん剤治療も完遂。
諸事情により、ふだんは実家で母と暮らしながら、歩行のリハビリを中心に、
手足のしびれや難聴、高次脳機能障害など、脳梗塞の後遺症や抗がん剤の副作用と闘いつつ、
週末はやまねことうちで過ごす、という生活をしていましたが、
2019年11月12日、ついに新居でやまねことの生活がスタートしたのもつかの間、
12月11日にはがんの再発を宣告されてしまいます。
<やまねこ>
ゆかさんの夫。
落ち着きがなく要領が悪く、おまけにコミュ障。
いまいち頼りないだんなさまですが、
たまにライブハウスでピアノを弾いて歌をうたっていたりします。
<メイさん>
17年前にへその緒つきで捨てられていたところをやまねこと出会い、
それからずっといっしょに暮していた、寄り目のみけねこ。
2018年12月29日、突然猫てんかんの発作を起こし
翌2019年1月9日早朝、病との闘いの末、永眠。


(なお、病院関係者のかたがたほかの名前は、すべて仮名です)


2020年3月21日、4度目の抗がん剤治療(GC療法)から退院したあと、
比較的ゆかさんの病状は落ち着いていましたが、
徐々に微熱のある日が増えていきました。
胸の痛みもあいかわらずで、
ゆかさんはふと「わたしコロナなのかな」と言いました。
「それはないでしょう。ゆかさん病院にしか行ってないんだから、
コロナもらうとしたら病院だし、だとしたらもう病院パンデミックで大変なことなってるよ」
と言うといちおうは納得してくれるのですが、
しばらくすると「やっぱりコロナかもしれない」と戻ってしまうのでした。

25日は通院してのゲムシタビン点滴の日でした。
夕方メールが来て、
「おかげさまで、今日はポートから投薬できました!
炎症の値高かったったけど、白血球も普通だったし、朝から熱もなかったし。
葛西先生に診てもらえたから、
胸痛のこと話してコロナですか?って聞いたら、
それは心配しなくていいんじゃないかな?って。
それより血栓のほうが心配っていわれて、血栓の検査希望しますか?って言われたけど、
検査して血栓がひどくなってたとしても、
また入院してヘパリン点滴してを繰り返すしかやりようがないって言われて、
なんかそれは余計ストレスたまりそうだし、
できるだけおうちで過ごしたいなとおもってやめておきました」
とのことでした。
やはりコロナより血栓のほうが心配なのは、やまねこも同じです。

しかし、26日には再び微熱が出て、
27日からも上がり続け、29日の夕方にはとうとう39℃を超えてしまいました。
これはコロナであろうとなかろうと、軽いことではありません。
ちょうど日曜日でやまねこもうちにいたので、時間は遅かったですが、
ゆかさんは「病院に相談してみるよ」と言って自分で電話しました。
「婦人科、坂本先生出てくれて、血液検査してくれるて。
その結果で入院になるかどうか決めるって。結果出るまで待つことになるから、
ねこさんはあした仕事早いし、送ってくれたら帰っていいよ」
そういうわけにもいきません。

ゆかさんはお出かけ準備に時間のかかるほうで、出発は19時を回ってしまいました。
とりあえずひと晩入院できるくらいの荷物をパッキングしてもらって、
もし長引くようだったらあらためて荷物を持っていくことにして、
そのぶんはとりあえずまとめて積んでおいてもらいました。

前日降った雪がまだ残っていました。
ゆかさんにも滑らないように慎重に階段を下りてもらい、
できるだけ凍っていない大きな通りを回って病院に向かいました。

病院はもう正面玄関が閉まっていて、夜間受付から中に入り、
救急の受付に診察券を出しました。
熱を測ると、さっき飲んだロキソニンの効果か、37.3℃まで下がっていました。
そのあと尿を取り、ゆかさんは診察室に入り、やまねこは外で待つことになりました。
かなりの時間が過ぎたような気がします。
やまねこが診察室に呼ばれたのは20:30になっていました。
看護師さんが「検査結果が出るまでお待ちください」と言って出ていき、
ゆかさんとふたりになりました。
「腎臓になにかある可能性もあるからって、エコーのようなのも撮ったの」
とゆかさんは言いました。
「胸の痛みについてはポートからの感染の可能性もあるって言われたけど、
長い入院にはならなさそうよ。ヘパリンの点滴とか『いやでしょ?』て言われたから、
『いやだ』って答えといた」

坂本先生が戻ってきたのはもう21:30。
血液検査の結果を見せてくれました。
「炎症の値、CRPは高いですが、感染のもうひとつの指標は高くないです。
白血球も下がっていないので、感染の疑いは低いです。
抗がん剤で免疫が下がるので、高熱が出たら連絡してくださいと言っているのですが、
今夜は帰って差支えないと思います」
胸の痛みは血栓そのものではなく筋肉や神経のものである可能性が高いそうで、
腎臓にも異常はなく、ポート感染症も周囲の腫れなどの状況から可能性は低い、
とのことでした。

すっかり遅くなってしまいましたが、
「とりあえずよかったね」と、
コンビニで晩ごはんを―ゆかさんは大好きなレタスサンドを―買って家路につきました。





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