帰ってきた旅猫・メイの奇跡 その2の1.北へ。 | うちには、天使がいます。

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ピアノ弾き語り落ちこぼれシンガー・うたうやまねこと、そのパートナーゆかさん、そして寄り目のみけねこメイさんの、命の記録です。



・登場人物
<メイ>
2001年の5月にへその緒つきで捨てられていたところをやまねこと出会い、
それからずっといっしょに暮している、寄り目のみけねこ。
車でやまねこと旅をする「旅猫」に育ち、
2004年には西伊豆での1週間のサバイバルから生還しました。
<やまねこ>
ライブハウスでピアノ弾き語りをする歌い手。
2009年当時、ふたたび一時的に失業中。


メイが西伊豆で行方不明になり、一週間後に無事に保護されてから、
5年の月日が流れました。
メイはつつがなく年を重ね、8歳の壮年に。

やまねこの生活には、かなりの変化がありました。
ひとことで言えば、また失業してしまったのです。
一年前の3月に、勤めていた会社を「一身上の都合で」退社しました。
その都合というのは、本当にいろいろな理由があったのですが、
社員6人の設備会社で、現場代理人とかを任されるようになると、
天候などによって現場が押すたびに休日出勤になったり、
実質音楽を続けることが難しくなってしまったこともあります。

もうひとつ、極端に手先が不器用なやまねこは、足場の上などから、
工具や資材や、いろいろなものを落としてしまうことが何度もあり、
「がらんがらーん」と音を立てて足場を転がり落ちていく工具を見ていると、
「このままではいつか人を殺してしまう」と、現場が怖くなってしまったのも理由でした。
さらに、ちょっとした事故で―倉庫内での事故なのですが、
いつもとは逆に、上の棚をごそごそしていた同僚の落としたダクトの切れ端が、
やまねこの右手の小指に当たってしまい、あわやちぎれそうになってしまった、
というのが決め手になりました。
ピアノ弾きにとって、指は1本たりとも失うわけにはいきません。

派遣でもいいので、なんとか製図一本で食べていくことはできないだろうか。
退職後、ハローワークなどでCADの仕事を探してみましたが、
やまねこが今まで使っていたのはJW-CAD、
でも求人は圧倒的にAutoCADが多かったのです。
これはAutoCADができなきゃだめだな、と思ったやまねこは、
下半期から職業訓練校でAutoCADの講習を受け始めました。
それですべてがうまくいくはずでした、


が、

そこで起こってしまったのが、リーマンショックです。

半年後、職業訓練校を卒業したころには、
あれだけあった求人は、ほとんどなくなっていました。
それでもなんとか設備関係の会社にもぐりこむことができたのですが、その会社は、
「株式会社」と名乗っているものの、いきなり現場で社長に面接、採用され、
そのままその現場で試用期間3か月・日給8,000円残業手当なしで働きはじめ、
「会社」に行くことも、ほかの社員に会うこともいちどもないまま、
試用期間終了と同時に解雇、という、
まあそんなブラックな求人しかなかったのです。

あーむしゃくしゃする。
気分転換したい。もう失業手当は出ないけど、
ほとんど生活費しか使わずに4年間働いた蓄えも少しはあるし、
少しくらい気分転換してもいいよね?
季節は7月。おでかけにはいい季節でした。

よし、北海道行こう。リフレッシュしてこよう。
気分すっきりさせて、あらためて職探しすればいいや。


行先は、知床に決めました。
ずいぶん昔に2度ほど行ったことはあるのですが、
そのころはまだヒッチハイカーで、
好きなように動き回ることはできなかったっけ。
今度は車。思いっきり手足伸ばしてこよう。
26日にはLIVEが入ってるから、そんなに長期では行けないけど、
あくまで就職活動のためのリフレッシュだから、2週間くらいでじゅうぶんだよね。
さぁ、行くよ、メイ!久しぶりの北海道だ!


いつものように、メイをとなりに乗せて、7月7日七夕の夜に出発しました。
車で知床へ向かうのは、かなり長い道のりです。
まずひと晩かけて新潟まで走り、
小樽まで18時間フェリーに乗って、
そこから広い広い北海道を。西の端から東の端まで横断です。

やまねこの旅行は、行先は決まっていても、
そこに着くまではとりたてて計画は立てないのが常です。
行き当たりばったりに、主に海沿いに車を走らせて、
景色が良さそうなところでは休憩し、たまに海に足を浸して、
折々釣り糸を垂れて食料を確保したりしながら、
陽が落ちたら道の駅とか漁港の片隅とかに車を停めて寝る、
というのがスタイルです。

今回も7月9日の朝、小樽でフェリーを降りて、まずは近くの岸壁で釣り人たちをながめ、
「チカ」というわかさぎを大きくしたような魚が釣れているのを見て、
さっそく釣り糸を下ろしました。
2~3日ぶんのおかずは確保したかな?と思うまで釣ったあと、
ようやく目的地に向けて出発します。
まずは苫小牧へ抜ける途中、恵庭の道の駅で野菜を仕入れて、
(野菜を買うなら、ここはおすすめ)
そこからは途中太平洋沿いにえりも岬を経由して、根室半島をぐるっと回って、、
(とにかく海沿いを走るのが好きなのです)
途中3泊、ゆっくりゆっくり知床を目指しました。

7月13日の朝には根室の漁港で2度めの釣りをして、
納沙布岬ではメイを車から出して、
「ほらメイ、今おまえが日本最東端の猫だよ!」と言いながら写真を撮り、
知床半島の付け根、標津町までやってきました。
できればそのまま知床に入りたかったのですが、
夕方スコールのような大雨に見舞われてしまい、
この日はそこで夜を明かすことにしました。

あしたはいよいよ知床。
例に寄って海沿いを道がなくなるところまでドライブしてから、
キャンプ場に入ろう。
4日くらい、ゆっくり滞在しよう。
もちろん釣りもしたいし、山に登ってみるのもいいな

週末旅行とは違う、久しぶりに旅をしている感覚。
いいな。
もちろんこのときはまだ、予定をはるかに超えてキャンプ場に滞在することになるとは、
夢にも思っていませんでした。





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「帰ってきた旅猫・メイの奇跡その2」は、
「その1」よりぐっとワイルドに、知床が舞台になります。
登場人物も、ほぼやまねこと(メイと)A氏だけだった「その1」に比べて、
ぐっとたくさんの人が関わってきます。
そのため、登場人物については、すべて仮名(そもそも本名を知らない人がほとんど)
で描いていこうと思います。
次回から本格的にお話が動きはじめます。
お楽しみに=^_^=


そして2月11日のLIVEも詳細が出ました。
2/11(Fri.)祖師ヶ谷大蔵ライブカフェエクレルシ→https://cafe-eclaircie.com
「昭和歌謡ライブ(歌声喫茶風)特別編:演歌特集」
OPEN13:40/START14:00/CHARGE\2,000+1D

☆やまねこの出演は14:55~15:25の予定です。
1ステージまるまる演歌。全曲カバー曲となりますが、
いつもと違うやまねこを楽しんでいただけたらうれしいです。

なお今回から配信は投げ銭制になります。
こちらのページから→https://www.ecllive.com/20220211
時節柄「ぜひお越しください」とも言いづらいのですが、
よかったら配信もお気軽にご覧になってくださいね。