日本で認められる線毛機能不全症候群(primary ciliary dyskinesia; PCD)についてインターネット検索やAIにより得られる医学情報を入手してみると、多くの場合、二つの問題があることがわかります。

 

1.当時、その道の権威と言われた日本の医学者の手で書かれた古い医学情報を更新せずにそのまま流用している場合
2.新しい医学情報を権威ある英文雑誌の総説から入手しているのだが、それを日本にも当てはまるものと考えてそのまま流用している場合

 

1.は、PCDの遺伝子診断法が特にこの10数年で急速に進歩した結果、原因遺伝子と病態の対応関係が明確になってきていることに触れていないことが問題です。2.は最新情報を入手しているのだが、欧米の論文を情報源としていて、日本も同じだと考えているところが問題です。

現在、日本のPCDは電子顕微鏡検査では診断のつかない場合がとても多いこと、そして内臓逆位を示す例が欧米の半分くらいしかないことがわかっています。その発病の背景には、東アジア人特有の遺伝子異常を持っている人々の存在が明らかになってきています。一方、内臓逆位を示す場合は、調べてみると、欧米人と似通った原因遺伝子の異常が検出されます。

新しい医学情報を探すときに、引用されている文献の発行年が新しいものを含めているかどうかが一つの判断材料になります。PCDについては、遺伝子解析技術の進歩に伴い、最近、さまざまな情報が得られていますので、10年以上前の文献だけを引用して書かれた総説はとても参考になりませんし、欧米とアジアの違いについて触れていない総説も日本の現状を知るのにはきわめて不十分なものです。

特定の医学系総説を低/高評価することは致しませんが、そのような観点で探していただけるとこの病気に関する新しく確かな情報が得られて、混乱が避けられると思いますので、関心をお持ちの方はどうぞお試しください。