気管支拡張症と深い関係にある肺非結核性抗酸菌(NTM)症の治療については、専門家の医師たちにより、学会を通じて2023年に「見解」が出されていますので、この病気に関わる臨床医はよくご存知のことと思います。
実際は、現場ではケースバイケースで対応されているので、必ずしもこの通りに行えるわけではないと認識していますが、原則は大事と思います。たとえば、痰の中から菌が消えたのか、それとも引き続き検出されているのかは、治療期間の決定や治療法の変更を行うときの指標として重要とされます。たとえば肺MAC症では、菌が消えても1年半は治療を継続した方が再発しにくいということですね。
以下に、気になる点を「見解」の中から抜粋してお示しします。私自身は肺NTM症の専門家ではありませんので、下記の点について経験に基づいたコメントはできません。医療関係者向きではありますが、気になる方は関係箇所をお読みになるよう、お勧めします。また、この領域は、最近進歩していますので、最新の情報を得ることも必要かと思います。
https://www.kekkaku.gr.jp/wp-content/uploads/2023/06/876fc7b7e79db16bd4f10d91fc884e3c.pdf
/////////////////////////
肺NTM症治療の基本的な考え方(抜粋)
・治療効果の判断と治療期間
自覚症状の改善,画像所見の改善は治療反応の評価に有用であるが,原則的に喀痰培養検査により治療効果を判断する。一般的には,4 週以上間隔をあけた喀痰培養で3 回連続して培養陰性が確認された時点で排菌陰性化が達成されたと判断し,初回の培養陰性喀痰検体が採取された日を培養陰性化日とする8)。治療が開始された場合には,6 カ月以内の培養陰性化達成は死亡率の低下に関連すると報告されている9)。治療期間を判断するためにも治療開始後も喀痰検査を繰り返し実施し,継続的に評価する。
1. 肺MAC症
・治療期間:2020-国際ガイドラインでは培養陰性化が達成されてから最低1 年間と規定されており,本見解も同様の立場をとる。しかし,本方針に従って治療期間を確保してから治療を終了し経過観察すると,5 年で約40%が再燃および再感染することが報告されている20) 21)。わが国から,排菌陰性化後の治療期間として15 カ月から18 カ月を確保すると治療終了後の再排菌率が低下する,との報告が複数ある22) 23)。また,韓国から有空洞例や喀痰抗酸菌塗抹陽性の場合には18 カ月以上の治療期間が予後改善に関連するとの報告もあり24),これらを参考とする。
表1 肺MAC症の治療
・ 難治例(多剤併用療法を6 カ月以上実施しても細菌学的効果が不十分な患者)
A法に以下のいずれかを併用する
・ALIS 590 mg/日吸入
あるいは
・SM 15 mg/kg 以下(1000 mg まで)週2~ 3回筋注
あるいは
・AMK 15 mg/kg 連日or 15~ 25 mg/kg 週3 回点滴,TDMで調節
(50歳以上の場合8 ~10 mg/kg 週2~ 3 回,最大500 mg まで,TDMで調節)
/////////////////////////
実際は、難治例には、アミカシン点滴やアリケイスの導入が行われている場合が多いのでは、と思いました。ご参考にいただければ幸いです。