◆ 実際の呼び名
前節では、合理的な基準によって分類してみました。ただ、これは筆者の独自な取り組みで、世間一般で実際に使われているゲーム分類用語とは、多少のずれがあります。言葉は、具体的な"何か"を論じる必要によって作られるもので、抽象的概念が先にあるわけではありません。そのため、システム的な合理性とは相容れない面がどうしても出てくるのです。
そこで、一般的に使われている用語を、ここと対照してみましょう。
アナログゲーム
"非コンピュータ"であることを強調したい場合によく使われます。ここで言う「道具式ゲーム」とほぼ同義です。
アブストラクトゲーム
「アブストラクト」="抽象"。囲碁将棋などに対してしばしば使われます。ここで言う「ボードゲーム/抽象型」とおおむね一致します。
アミューズメント
本来広い意味がある単語ですが、専ら「非ソフトウェア型/業務用」を指して言う場合があります(業界団体の『日本アミューズメントマシン工業協会』など)。また、特に一部ではパチンコ・スロットだけをそう呼ぶ場合があります。
ビデオゲーム
コンピュータゲームの総称として、世界的に使われいてます。本来「ソフトウェア型」全体を指しますが、日本では「業務用ゲーム/汎用筐体」に特化した意味で使われる場合があります。
テレビゲーム
コンピュータゲームに対する日本独自の呼び方です。通常は「家庭用ゲーム/据え置き型」を意味します。つまり、上記の(狭義の)"ビデオゲーム"と対になる概念ですね。
アーケード、コンシューマ
業務用ゲームを「アーケード」、家庭用ゲームを「コンシューマ」と呼びます。
コンソール
「家庭用ゲーム/据え置き型」を特定する場合に使われます。
しばしば言われるように、分類は対象を理解するための手段であるのと同時に、それ自体が主張でもあります。つまり、こうして分類を行うというのは、「本シリーズではゲームをこのように観るのだ」という宣言でもあるわけです。
本シリーズでも、特に必要な場合以外では、これらの一般的用語を使って記述していくことになります。つまり「装置型」「道具型」などという言葉は、今後の記述には原則使わないということですが、まずは考え方と基本的スタンスを理解してもらうため、独自用語による分類を先行しました。