3月にイコラブの1stアルバムリード曲「桜の咲く音がした」MVが公開された時に、このMVを監督された高橋栄樹さんについて長めの記事を書きました。

ドラマパートの付いたバージョンはアルバムのBDで公開されるという、ちょっと凝った、謎の仕込まれたMVでした。

 

 

その記事ではAKB48の「10年桜」とHKT48の「大人列車」のつながりを取り上げたのですが、高橋監督の桜ソングMVとしてはAKBの代表曲のひとつ「桜の花びらたち2008」もあります。

この曲は冒頭でキンコンカンコンと鐘の音が鳴り、AKBグループでは卒業コンサート、卒業公演などでほぼ必ず歌われるAKBを象徴する有名な歌です。2006年にAKBのインディーズCD1枚目として発売されていますが、AKBがKINGと契約する前にデフスターレコード(ソニーミュージックの子会社)から「2008」版が新録音され発売されたときのMVです。まさにAKBブレイク前夜というべき時期でしたが、デフスターはなぜかAKBを契約解除してしまいソニーの大失態と噂されます。

 

高橋栄樹さんがつい最近、twitter上で自身の監督したMVの資料公開を始められ、その第一弾として「桜の花びらたち2008」の設定資料や台本抜粋を公開されました。とても貴重なものであり、興味深い資料です。

 

 

 

 

「桜の花びらたち2008」の公式のMV(フルは10分超)はいまyoutube上に見つからないのですが、非公式なものはいくつかあるので見ることは可能です(セリフのあるドラマシーンをカットしたバージョンもあります)。

このMVにはときどき歌唱(斉唱)シーンは入りますが卒業式の一こまとしてメインではなく、いわゆるリップシーンやダンスシーンもありません(アイドルMVとしては異例でしょう)。MVのほとんどは、卒業式の答辞(峯岸みなみ)から始まり、主に5人の生徒の関係(とくに前田敦子と大島優子の関係が切ない)を中心に、卒業式後の一人一人の様子や学園生活の回想シーンが描かれていきます。さみしさや切なさもありながら、それぞれの未来に進んでいく明るいラストで終わり、ちょっとコミカルな感じで蛭子さんが校門でチェックする先生として出てきます。

一編の映画であり、「楽曲のためのMV」というより「MV(映画)のための楽曲(主題歌)」といった印象を受けたのは私だけではないでしょう。そしてこんなMVを見たら、このグループとメンバーを好きにならずにはいられないでしょう。

 

一人一人にこまかい設定があり、それに応じて演じられているようです。こじはるのフランス育ちとか留学予定の設定は具体的には描かれません。「5人のグループが出来たキッカケ」の設定もすごいですね。場面として出てこないのに、ここまでイメージを具体化しておくのかと驚きました。

峯岸みなみはたかみなの代役だったようですが、女優・峯岸みなみの片鱗がうかがえます。

 

 

 

高橋栄樹監督によるイコラブの「桜の咲く音がした」MVも、なぜあの3人がバンドを始めたのか、なぎさと瞳の関係、といった設定が間違いなくあったはずで、いずれ公開されることがあれば、ぜひとも読んでみたいものです。

それまではアルバムver.のMVを見直しながら、妄想を膨らませることにします。

こちらはドラマシーンのない(しかしそれが前提となり組み込まれた)youtube ver.の「桜の咲く音がした」MVです(全編見たい方はアルバムtypeAの全シングルMV集をどうぞ。typeBにはメイキングとしてプレレコから振り入れ、ジャケット撮影、MV撮影のほかメンバーのインタビューが収録されています)。