国民富裕化(9) | 平成の国民所得倍増計画

(二)

民間金融機関は日本国籍を持つ国民(個人のみ)に自社が政府から購入したすべての消費税担保証券を売却する義務を負う。

民間金融機関は六百兆円分の消費税担保証券の一時的肩代わり購入や強制的な国債と上場企業株の供出を行う代わりに、配当金額30兆円の5%(1兆5千億円)を手数料として永久に毎年受け取れる特権を与えられる。手数料は配当金から天引きされる。

 

(三)

日本国民は全員(子供も含めて)がこの証券を一人当たり500万円分購入する権利を持つ。

4人世帯ならこの世帯は2千万円分の消費税担保証券を購入する権利を持つ。5%の配当金は非課税とする。よって金融機関の手数料(配当金額の5%)を引いても4.75%の高利回りとなる。定期預金の利息には20%の税金がかかるので定期預金の税引き前利息に換算すると6%というバブル絶頂期なみの高利回りに相当する。

手数料を引いても額面500万円当たり23万7千5百円の配当となる。

4人世帯なら2000万円の証券を購入できるので95万円の配当金を永久に受け取れる。

国民は証券を金融機関から購入するが、預貯金がまったくない人でも金融機関にマイナンバーカードを提示するだけで即時に購入可能とする。世帯主が家族全員分の購入手続きをできるものとする。

金融機関が客に証券購入代金の貸し付けおよび証券の売却と同時に証券に抵当権を設定するので金融機関の元金の貸し倒れリスクはゼロである。(額面金額のみでの販売および流通を義務付けられるので額面割れリスクはゼロである)

毎年国から確実に支払われる配当金から手数料と利子を天引きして残りを客に支払うので利子分も確実に担保されている。よって利子分の貸し倒れリスクもゼロである。

客は元金部分は返済せず利子のみを配当金から支払うという形なので客は一円の金も自己資金から払わなくて良い。

よって子供も含めてすべての日本国民が誰でもこの証券を購入可能である。

金融機関は配当金から手数料と利子を天引きして客に渡せばいいので手数料収入と利子収入が100%安全確実に入ってくる。

現在、金融機関が定期預金を担保にして定期預金額の8割から9割に相当する金額を貸した場合(定期預金担保貸付)の利子は年間0.51%である。

元金部分利子部分ともに確実に担保されている場合の定期預金担保貸付の利子が年間0.51%なのだから証券購入代金を借りた場合の利子もこれと同様となる。

証券購入代金500万円すべて金融機関から借りて証券を購入しても利子は年間2万5千5百円にすぎないから手数料と利子を天引きされても21万2千円の配当金を受け取れる。

4人世帯なら2000万円分の証券をすべて金融機関からの借金で購入しても年間84万8千円の配当金を受け取れる。

 

600兆円の半分の300兆円分の証券が金融機関からの借金で購入されるとしたら、0.51%の利子でも金融機関の利子収入は1兆5千3百億円となり手数料収入とあわせれば3兆3百億円という巨額の収入が金融機関に入る。

借金をせず自己資金のみで証券を購入した国民はいつでも証券の一部または全額を金融機関に額面の金額で買い取ってもらうことができるものとする。(金融機関への買取りの義務付け)

これにより高利回りでありながら定期預金と全く同様の利便性と安全性を証券は持つことになる。

額面金額はすぐにその場で支払われるが配当金については所有した期間に応じて日割り計算されて配当日に振り込まれる。

金融機関は買い取った証券を迅速に購入希望者に売却することを義務付けられる。(額面価格で販売することを義務付ける。プレミアをつけたり額面割れ価格での販売は禁止する。)

 

 

問題点

景気が良くなり定期預金の金利がバブル絶頂期の6%(税引き後の利回り4.8%)に達した場合、この証券の利回り(4.75%)の優位性は失われる。それにより自己資金で購入した国民が証券を売却して定期預金等に切り替える危険性が予想される。

しかしそれほど好景気であるなら消費税収入もかなり増えているので一時的に配当率を上乗せして再び優位性を取り戻せばこの問題は解決できる。

定期預金の金利が7%になった場合、利息から20%の税金を引いた5.6%が定期預金の実質的な利回りとなる。消費税担保証券の実質利回りは5.6%を上回らなければ優位性を維持できない。配当率を5%から6%に引き上げると金融機関の手数料5%を引いても実質利回りは5.%になり定期預金の実質利回り5.6%を上回る。この程度までの配当率の上乗せは好景気による消費税収入の増収で対処可能である。

問題は借金で証券を購入している場合である。

 

定期預金担保貸付の金利は定期預金の金利プラス0.5%である。

この証券を借金で買った場合も同様の金利となる。

定期預金の金利が7%なら利子は7.5%にもなる。利子と手数料が差し引かれうえで証券購入者にいくらか配当金を渡せるほど配当率を引き上げることは不可能である。

よって5%の配当金から利子と手数料を引いたらほとんど配当金が残らなくなるレベルまで金利が高騰した時点(定期預金の金利が4.25%に達した時点で借入金の利子は4.75%になるので手数料を引くと配当金はゼロになる)で、自動的に証券購入代金の貸借契約は解約されて金融機関が担保設定した証券を没収して借金を清算するという項目を最初から契約に盛り込むものとする。貸借契約が解約された時点で借金は完全に消滅するが配当金も受け取れなくなる。

そのうえで、国民一人当たり500万円までという制限と法人購入禁止という制限を撤廃する。借金で証券を購入した人からいったん金融機関が没収した証券は資金的余裕のある日本国籍の個人や日本の法人に売却されることとする。

 

 

段階としては

定期預金の金利が4.25%に達した時点で借入金で証券を購入した人は貸借契約が解消され配当金を受け取れなくなり、金融機関が没収した証券は500万円を超える額の証券を現金で購入したい日本国民や日本法人に売却される。

配当率4.75%(非課税)はこの時点ではまだ定期預金4.25%(税引き後利回り3.4%)に圧倒的に優位性があるので完売は間違いない。

その後、定期預金の金利が6%に達したら配当率の一時的上乗せが実行される。

 

 

 

 

(四)

この消費税担保証券発行には複数の目的がある。

財政問題の根本的な解決。

好景気による金利上昇が引き起こす低利回り国債の価格暴落のダメージを防ぐ。

消費税収入を全国民へ均等に還流するというベーシックインカムの側面。老人の貧困の原因のひとつである「長期間続いてきた預貯金の異常な低金利」への対策。

ほとんどの世帯では一年間に支払う消費税よりも受け取る配当金が上回るので消費税を10%にすることへの国民の理解が得られる。

消費税還流による個人消費増大および景気浮揚。

欧米に比べて明らかに危険水準を超えている日本企業の外国人株主比率に対する対策として上場企業株の政府保有率を上昇させる。

低い貸与率(金余り)に悩む銀行や運用難に悩む保険会社の救済。

 

(五)

生命保険会社には銀行の定期預金担保貸付と同様の契約者貸付制度(解約払戻金を担保にしてお金を借りられる)があるが金利が3%と定期預金担保貸付よりはるかに高い。生命保険会社の消費税担保証券購入資金の貸付利子も銀行の利子と同様の銀行定期預金の金利プラス0.5%の水準に合わせることを義務付ける。

(六)

金融機関には預金残高や資産残高などを勘案して証券受け入れの割り当てがされる。国民は自身が口座を持つ金融機関で購入することができるがその金融機関の割り当て分が完売した場合でも、まだ未販売分がある金融機関から自身が口座を持つ金融機関を窓口として購入することができる。借金で購入する場合も証券を販売した金融機関に借金をする形になるがその場合でも自身が口座を持つ金融機関を窓口として簡単に借金できる。当然、手数料や利子は証券を販売した金融機関に入るが手数料や利子を天引きした配当金は自身が口座を持つ金融機関の口座に振り込まれる。