今、話題沸騰の銘柄
東芝
経理、ネタとしても調べたい
ただし、東芝はIFRS提出会社で有価証券報告書が非常に読みづらい
財務諸表とか意味不明
考えながら注意深く調べていきます
【沿革】
1875年 創業(芝浦製作所)
1890年 白熱舎創業
1939年 芝浦製作所と東京電気が合併
1950年 企業再建計画に基づき企業再編
1984年 東芝に商号変更
1989年 日本原子力事業を合併
2006年 ウェスチングハウス買収
2016年 東芝メディカルシステム株式譲渡
【事業内容】
連結子会社552社(2016年3月31日現在)により構成
「電力・社会インフラ」、「コミュニティ・ソリューション」、「電子デバイス」、「ライフスタイル」及び「その他」の5部門に関係する事業を主とする
・電力・社会インフラ:原子力・火力・水力・太陽光発電システム、燃料電池、駅務自動化機器、交通機器等
・コミュニティ・ソリューション:上下水道・環境・放送・道路・通信システム、ビル・施設用電源、エレベーター、エスカレータ、照明器具
・電子デバイス:小信号デバイス、パワー半導体、光半導体、イメージセンサ、NAND型フラッシュメモリ、記憶装置、半導体製造装置等
・ライフスタイル:パソコン、タブレット、テレビ、録画再生機器等
・その他:ITソリューション、物流サービス等
【業績 セグメント】
業績 |
売上高 |
当期利益 |
一株益 |
一株配 |
12.3 |
5,996,414 |
3,194 |
0.8 |
8 |
13.3 |
5,722,248 |
13,425 |
3.2 |
8 |
14.3 |
6,489,702 |
60,240 |
14.2 |
8 |
15.3 |
6,655,894 |
-37,825 |
-8.9 |
4 |
16.3 |
5,668,688 |
-460,013 |
-108.6 |
0 |
売上高は5兆1,000-6兆1,000億円と規模が巨大
利益は前期▲378億円、▲4,600億円と巨額損失
黒字である期の利益率も前々期が1%で、前前々期以前は0.3%と銀行金利並みに低くなっています
セグメント(平成28年3月期)
億円 |
売上高 |
営業損益 |
電力・社会インフラ |
20,484(103%) |
△3,675 |
コミュニティ・ ソリューション |
14,252 (101%) |
△788 |
電子デバイス |
16,050 (91%) |
△1,016 |
ライフスタイル |
5,426 (59%) |
△1,319 |
その他 |
4,946 (91%) |
86 |
合計 |
56,687 (93%) |
△7,087 |
電力・社会インフラの売上比率が高く、赤字幅も大きい
ライフスタイル事業はテレビ等の映像事業、パソコン事業で販売地域を絞り込んだため、減収になっています
【財務諸表】
① 資産
・現金預金9,697億円(18%)
前期の現金預金が1,902億円なので、意図的に資金を厚めに保有していることがわかります
・投資有価証券その他の投資870億円(2%)
前期が2,621億円であり、有価証券の売却を進めていることが伺えます
・関係会社に対する投資及び貸付金2,665億円(5%)
これは持分法適用会社の持分で、出資先の利益額を反映した価格になっています
・のれん及びその他の無形資産6,399億円(12%)
前期は1兆950億円で減損しているとはいえまだまだ大きい
② 負債
・短期借入金・1年以内返済長期借入金・社債6,196億円(11%)
現預金が9,697億円であり、1年以内に資金ショートする可能性は低いと思います
・長期借入金・社債8,313億円(15%)
現状の現預金では追加借入なし・投資削減、キャッシュフローを稼ぐ以外に、来年以降は持たないことが予想されます
自己資本比率の低さ、事業運営を前提する資産構成を考えると、東芝に低金利で多額の資金を貸し出す貸し手が現れるとは考えられません
・未払退職及び年金費用
従業員を対象とした退職金及び退職年金制度のために負債として計上
③ 純資産
・自己資本比率6.1%
・資本金・資本剰余金8,394億円
・利益剰余金・包括損失累計額▲5,086億円
資本金・資本剰余金に食い込んでおり、当分株主還元はできないことが分かります
この5期最大の利益602億円を出し続けたとして、10年近く必要になり、株主還元までほど遠いことが分かります
・非支配持分3,434億円
④ 損益計算
・のれん減損損失2,949億円
・支払利息208億円
・持分法による投資損失232億円
・年金負債調整額▲1,189億円
とにかく真っ赤な損益計算書だと思います
【トピック】
① 収益の認識基準(時点)
・電子デバイス・ライフスタイル部門の収益は、契約・製品の引き渡し完了・代金の回収が確実になった時点
・電力・社会インフラ部門の据付が必要となる装置に係る収益は、装置の据付が完了し、顧客による動作確認の検収がなされた時点
・プラントや保守サービスの役務の提供は役務の提供が完了した時点
・長期契約に基づく収益は、契約で決められた工事の進行に応じて計上(工事進行基準)
前提がしっかりしていれば、収益額は問題ないと思います
② 投資有価証券内訳870億円
・京浜急行電鉄(車両) 17億円
・trek(フラッシュメモリ) 13億円
・日本テレビ(放送) 13億円
・東京エネシス(発電) 13億円
必要最低限の投資有価証券しか保有していないことがわかります
Phison,アルプス電気、ジャパンディスプレイ、日本製鋼所などの株を大量放出しており、東芝の焦り具合を感じます
③ 研究開発費・設備投資額
設備投資額(平成28年度)
セグメント |
研究開発費 (億円) |
設備投資額 (億円) |
電力・社会インフラ |
749 |
498 |
コミュニティ・ ソリューション |
537 |
250 |
電子デバイス |
1,969 |
2,022 |
ライフスタイル |
205 |
20 |
その他 |
148 |
242 |
合計 |
3,608 |
3,032 |
研究開発費・投資額でも電子デバイス部門の比率が極めて大きい
研究開発費は前期3,097億円であり、業績に関わらず、費用をかけていることが分かります
④ のれん及びその他の無形資産6,399億円
のれんは償却をしておらず、減損テストで資産の評価を実施
減損テストは、割引前予想キャッシュ・フローに基づき減損の有無を評価し、「有」と判定された場合、李リスクに見合う割引率を用いて算出した予想キャッシュ・フローに基づいた公正価値まで、評価損を計上
のれん28年3月期 |
減損額 億円 |
電力・社会インフラ |
2,642 |
コミュニティ・ ソリューション |
281 |
電子デバイス |
0 |
ライフスタイル |
0 |
その他 |
26 |
合計 |
2,949 |
原子力を含む電力・社会インフラ事業での減損額が多くなっています
ところで、IFRSののれんの非償却、減損評価には疑問符を持っています
キャッシュ・フローの見積の根拠となる将来のキャッシュは誰が分かるのでしょうか?結局、経営者も目標ありきで、数値の作りこみがなされるだけだと思います
会計監査でチェック・判定可能?
できるのなら、会計士は経営者になったほうが社会のためです
のれんは償却すべき!
のれんは不確実であり、規則的ではあり、財務諸表から償却を通じ減らしていくべきものなのだと思います
【株価 購入価額】
237.9円(2017.2.10)
---(2017/03) 1株配当(会社予想)(連)
6.95倍(02/10) PER(会社予想)
(連) 2.77倍(02/10)PBR(実績)(連)
34.25(2017/03) EPS(会社予想)(連)
85.79(2016/03) BPS(実績)
財務諸表を見ると、全く購入できない
自己資本比率低すぎ、資産ののれん比率が大きすぎ
あと1年は資金ショートしないが、その後は資金調達できず、ジエンドという結末が見えていると思います
また、未払退職金残高を見ていると、東芝の福利厚生の厚さを感じます
自助努力で給与・退職金・福利厚生水準を切り下げることができないので、一旦会社を破たんさせて、会社更生法で再生するのが望ましいと思います
JALと同様の流れ
東芝株を買うのはありえないし、東芝株を保有している会社、債権額が大きい会社も危ないのだと思います
以上