大学時代の会計士仲間(友人:公認会計士、自分:結局凡人)が、
伊勢丹株が熱い!というよくいうのでシリーズで各百貨店を分析
しようと思います。
大阪在住で阪急阪神グループにはよくお世話になっているので
まず、H2Oリテイリングを紹介します。
大阪の同期にH2Oの名前・ブランドマーク(H2Oが尖がったやつ)
がラブホテルみたいと言ったら、共感を得られませんでした。
千葉県船橋市の人にしか通じないローカルネタだったのかもしれません。
H2Oリテイリング[8242]
【会社概要】
関西を中心に、百貨店・スーパーマーケットを運営
百貨店は阪急阪神百貨店、スーパーはイズミヤがメイン
百貨店では、三越伊勢丹、Jフロントリテイリングに次ぐ第3位の規模
【沿革】
平成20年 阪急百貨店と阪神百貨店が合併 社名変更
平成23年 博多阪急開業
平成24年 神戸阪急閉店
平成27年 イズミヤ完全子会社化
村上ファンドの阪神株買い占めを契機に、阪神と阪急が経営統合
→阪急阪神HD
百貨店分野も合併
→H2Oリテイリング
梅田を本拠地に激しいライバル関係にあった2社の合併は、
関西に激震をもたらし、阪神百貨店の建て替え等経営にも
大きな影響をもたらした
イズミヤの完全子会社化により、売上高が前年比で2,500億円程度増加
【セグメント売上】(百万円)
事業 売上(比率) セグメント利益(利益率)
百貨店 431,178(47%) 16,625(3.9%)
スーパーマーケット 118,326(12.9%) 2,282(1.9%)
イズミヤ 318,575(34.8%) 4,741(1.5%)
その他 47,609(5.2%) 3,317(7.0%)
スーパーマーケット事業は、食品の製造販売・加工、
阪食のスーパーマーケット業、百貨店への仕入れ代行業務
その他はホテル事業、百貨店の内装等の事業
【トピック】
①百貨店の売上が梅田に集中
百貨店の拠点別売上高は、
阪急梅田本店(メンズ館含む) 218,358(前年比110.4%)
阪神梅田本店 58,919(前年比82%)
阪急博多 43,850
西宮阪急 25,178
と、梅田の阪急・阪神で百貨店事業の6割以上を占める
建て替えにより阪神梅田の売上高は減少しているが、
阪急梅田がそれを補い、梅田全体では、売上高を増加している。
梅田での売上の変動が全社の業績に大きな影響を与える。
②阪神梅田本店の建て替え
阪神梅田本店は耐震性の問題で、建て替えを計画
※当初は耐震工事の計画だったが経営統合により、建て替えに
ⅰ)建て替えによる損益影響(特別損失を計上)
前期 当期
店舗建替関連損失 3,204 -
減損損失 3,070 -(梅田本店で新たに取得した土地の建て替え
期間中に収益発生しないことによる見積もりを変更)
ⅱ)建て替えスケジュール
2014.10-2018 新阪急ビル解体・竣工(旧オフィスビル→百貨店)
百貨店東側解体・竣工(百貨店→百貨店)
新阪急ビル・東側は先行して、百貨店営業を再開
2018-2021 百貨店西側解体・竣工(百貨店→百貨店)
百貨店部分全面開業
-2022 オフィス部分建設・開業
阪神梅田本店の建て替えの機会損失を最低限にするため、隣の新阪急ビルの
建て替えと平行して行い、一部閉業・一部開業を計画
とは言っても、一番賑わっている百貨店西側の一時閉店する2018-2021は
百貨店西側閉店よりも売上・業績的に苦しくなると思います。
というのも、行き慣れた阪神の売り場から新阪急ビルの売り場まで人が
流れないと思うからです。
ⅲ)延床面積(百貨店・オフィス)の大幅拡大
建て替えにより、百貨店・オフィス 150,000→260,000㎡
梅田周辺には、阪急百貨店、大丸松坂屋、グランフロントなど商業施設が
すでに多数あり、供給過剰になると思う。
また、生活実感として、大阪にオフィスは梅北グランフロント、北新地新ダイビル、
中之島フェスティバルタワーウエスト・・・
と次々に完成しており、供給過剰になると感じる。
大阪(梅田)駅直通なので、空室の問題はなくても、
賃料低下の懸念は残る。
H2Oに関係ないけど、大阪全体ではオフィス供給過剰で、
駅から遠いオフィスはさびれてしまいそうな気がする。
大阪でオフィス不動産は保有したくない。
③イズミヤの資産価値低下(減損損失)
スーパーマーケットの資産価値の低下が著しいように感じる。
セグメント利益でも1.5%と低いだけではなく、
多額の店舗等閉鎖損失・減損損失を計上
前期 当期
店舗等閉鎖損失 7,872 2,855
減損損失 - 3,836
特別損失込みだとセグメント利益は相当のマイナスである。
イズミヤの店舗は古いものも多く、イオンなどの郊外の複合商業施設に
勝てる見込みもなく、今後も店舗の減損→閉店の傾向が続くと思います。
【投資判断】(2016.11.22)
株価1,720
EPS 114円 15.05倍 ヤフー見込み
BPS 2,077円 0.83倍 ヤフー現在
配当 40円(利回り2.33%)
株主優待 百貨店10%引き(食品5%) 5枚
優待利回り 金券ショップ 1,000円買取 (40+10)=2.9%
当期純利益 14,053(平成28年3月期)
トピック懸念材料補正
①阪神梅田本店 建て替え(2018年) ▲2,000
②イズミヤ収益性の低下 - 今のペースで減損することを見込む
修正当期純利益(2019年3月期)12,000(EPS95円程度) → 95×15倍=1,425円
優待利回り 50円÷3.5%(個人的な要求利回り)=1,428円
1,430円くらいで購入を検討します。
以上