HawkerBase ムカイ林檎店 西淀店ブログ

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閃きだけで行く先を決めりんご売りしてます。Hawkerとは行商人。行商人は個性があり、音・絵・写真…自分・感覚・直観…
ちゃんと仕事をして、自分の「好き」も大切に。そんな人間が集まる秘密基地Base『HawkerBase』りんご売りと、元りんご売りが言葉を綴るブログです。


親戚の愛ちゃんが冬休みの宿題に苦しんでいた。

時は登校日の2日前の晩。

愛ちゃんの兄はというと

グッと集中してガッと

終わらせていたけれど

愛ちゃんは一向にはかどらない。


数種ある宿題の中から

かろうじて安易なものからはじめてみるも、

進まない。

家族が集まってみんなしてゴロゴロしたり

楽しげにしているんだもの、そりゃそうだ。


私の母が夕食を作っている際に

愛ちゃんはキッチンのカウンターに

宿題を置いて

「立っている方が進むかもー」なんて言いつつ。

それでもすぐに夕食の時間はやってくるのです。

その日は酸辣湯うどん。めちゃ美味しかった。

のびちゃうし、あったかいうちに

美味しく食べなけりゃいけないからね。


愛ちゃんは柿ピーの柿のほうが好きらしい。

2問解けたらひとつぶ柿を食べて良いと

自らご褒美を設けるも

柿よりも問題の数の方が遥に多く。

好きでも飽きはいずれ来る。


自室にこもって誘惑の少ないところで

集中してみるも

顔にくっきりと跡がついてしまうほど

寝入ってしまう。

寝ぼけまなこで

自室からリビングに降りてきた

愛ちゃんの顔を見た面々は、

ガハガハという笑いからの

なんて愛らしいんだという気持ちと

はかどってなかったんかいヤバいやん

といったゾッとした表情へと

二転三転していた。


こんな時、長く生きる者として

何か的確なアドバイスをと思うのだけど、

私も宿題はギリギリまでできなかったタチで。

やらずに行って職員室で正座をしていた類で。

情けないけれど同情しかできず。


だってだって宿題は本当に多すぎる。

大人が見ても終わりの見えなさに胸焼けするほど。

我がの中からいいアドバイスが

出ないのであればとインターネットで検索をする。

「宿題 進む方法」

いくつか出てくるものの、

ほぼ全てすでに

愛ちゃんが実践していたことだった。

もうそれだけで素晴らしいやん。

勉強できなくったって考える力を持っているやん。


と思っちゃうけどそれじゃあダメなんだよねえ。

愛情と責任はセットで持ちましょう。



左利き。愛ちゃん天才!

私の母は家族の誰よりもよく食べよく動く。


家族そろって食事をする際、

姉が人数分のごはんをよそってくれた。

姉、姉の中学生の息子、中学生の娘、

成人したばかりの弟、私、母。


6つ並んだお茶碗の中で

ひときわ山盛りのご飯があった。

食卓に並べる際、

これは誰のかと姉にたずねると

「それはお母さんのー。」と言う。


育ち盛りの孫より、

食欲旺盛な息子より、

30代の娘ふたりより、

よく食べる。


その日も多いとも何とも言わず

さらりと平げた。


そしてよく動く。

弟が購入したVR

音楽に合わせて動くゲーム。

これに一番はまっているのは母。


楽しい楽しいと

顔を真っ赤にさせながら

動く動く。


そんな姿を見て孫は言う。

「ばあばは、たくましいなー。」と。



 

食事を終えた後に

「お母さんのご飯だけ山盛りやったんやで」

と告げると、

「そーなんー!?」と言って

スススと笑っていた。

母は笑う時声を発しない。



久しぶりに高校からの友人、永遠子に会った。

彼女とは2年間ほど同居したこともあり、

なんだか久しぶりの感じがしないねえ、

といった仲。

「気兼ねなくとはこういうことなのかなあ。

気兼ねなくで合ってる?」と

永遠子が言った。


車がないと不便な田舎町なもので、

家まで永遠子が迎えに来てくれた。

車新しくしたんだね、素敵だね。

元気だった?どうしてた?

これね、お土産。

私からもお土産。

なんてはじまって、

永遠子行きつけの喫茶店へ向かう。


カフェ・シ・テール


雪がしんしんと降る中、

カラランコロロンと扉を開けると

マスクを突き抜けて香る珈琲の香り。

常連であろうお客が

珈琲から立ち込める湯気に顔をうずめながら

こちらを見やる。


永遠子はいつも何を頼むのよ。

とメニューに目を落としながら聞く。

私、ブレンドコーヒーと

ピスタチオカヌレにするわ

と永遠子。

私もブレンドコーヒーと塩ピスタチオ。


カヌレの横にフォークとナイフが

添えられていて、

ねえ、これ、どうやって食べるのかな。

なんて目配せしながら

カッチャカッチャと皿を鳴らし、

カヌレが皿の中で

あっちらこっちらへと暴れる。


6.70代であろう店主が

浜崎あゆみのミュージックビデオを流しはじめ、

カウンターの女性と談笑をはじめたところで、

そろそろ行こうかしらねとお会計を済ませる。


両足をぶつけ合いながら

靴についた雪をふり落として車に乗り込む。


「あの店主の方、

Twitterで人気なんだってえ。」


と永遠子がお手洗いに立っている際に

聴こえてきた情報を共有しつつ

青い車のエンジンがうなり

雪道を走りだす。


家族の話し。

恋人の話し。

仕事の話し。

お金の話し。


途切れない話に

永遠子の運転も止まらない。


海沿いの山道をぐんぐん進む。

うねうねうねうね。

酔わない?大丈夫?

私ね、運転好きなんだ。

かっこいい。永遠ちゃん。


行き着いた先には

海のすぐそばに小さな集落。

冬の海の恐怖をあおる高い波を眺めながら、

こわいね、塩風大変だね、

朝の海なんか素敵だろうな、

夜も波音とともに眠るんだろうね。

と話したところで街へ戻る。


ここね、高校の同級生の子が

三姉妹ではじめたんだよ。

と、かわいらしいクレープ屋さんを

永遠子が指す。


お母さんへの手土産に

ひとつ買って帰ろうかしら。


それから

イケメン美容師の話し。

マスカラの話し。

と女学生さながらの内容へと様変わり。


「さ、帰宅の途についているけど大丈夫?

帰宅の途?帰宅の途って言う?」


と永遠子が言って。


着いちゃったね。

またねバイバイ。


と楽しい再会の時間は幕を閉じました。


母と食べたクレープがとても美味しかった。